アルピコ交通上高地線の新型車両20100形(記者撮影)
東京都心の地下を走り続けた電車が、北アルプスのふもとを走る鉄道の新たな顔に――。上高地や乗鞍高原など山岳観光の足としても知られる長野県松本市の私鉄、アルピコ交通上高地線に3月25日、22年ぶりとなる新型車両「20100形」がデビューした。
地方の私鉄が新たに車両を導入する際は、主にコスト面の事情から都市部の大手鉄道会社で使われた中古車両を購入するのが一般的だ。アルピコ交通の新型も東武鉄道の中古車だが、大改造で電車の顔にあたる正面は独自のデザインとなり、まさに「新たな顔」に変身。運行開始前から、地域住民だけでなく全国の鉄道ファンの注目を集めていた。
上高地線は2021年8月の大雨で鉄橋が被災して一部区間の不通が続き、現在は6月開通に向けて復旧工事が進む。久しぶりの新車は、全線運転再開への期待も乗せて走り出した。
「顔」はオリジナルデザイン
20100形は、東武鉄道が地下鉄日比谷線乗り入れ用として1988年から運行していた8両編成の「20000型」を改造した。同車両は日比谷線へのホームドア設置に伴う車両の規格変更で、2020年3月までに地下鉄乗り入れから撤退。大半は4両編成に改造のうえ、栃木県内など北関東の東武線で運行を続けている。先頭車両は引き続き東武で使われているため、アルピコ交通にやってきたのは余剰となった中間車両だ。
アルピコ交通20100形は東武鉄道の元日比谷線乗り入れ用車両20000型の中間車両を改造した(写真:東武鉄道)
もともと編成の中間に連結する車両だったため運転用の機器はなく、車体の一部をカットして運転室を新たに設置した。「顔」にあたる正面がオリジナルデザインなのはこのためだ。正面は上半分が大型の窓ガラスで、上部にカラーLEDの行先表示器とライトを配置したすっきりした外観だ。
アルピコ交通の隠居哲矢鉄道事業部長は「顔は平面でもカッコよくしたいと思って、デザインにはちょっとこだわった」。車両改造を手掛けた京王重機整備(東京)の佐々木昌営業工事部課長も「アルピコ交通とはかなり打ち合わせをして、元の鋼体などの構造を生かしつつ窓の大きな開放感のあるデザインにした」と話す。
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