2021年2月10日、欧州日産は、新型商用車「NV300コンビ」を発表。2021年5月以降に、欧州全地域で発売開始となる見込みだ。
欧州日産が展開している商用バンは、全長4.5mほどのNV250、そして全長5mほどのNV300、そして最も大きいのが全長6mオーバーのNV400、という3車種だ。
今回の新型NV300コンビは、真ん中のサイズのNV300のビッグマイナーチェンジ版と考えられる。
この新型NV300コンビの詳細についてご紹介するとともに、新型NV300コンビの日本導入の可能性、そしてハイエースをはじめとするライバル車との比較についても、迫ってみようと思う。
文/吉川賢一、写真/日産、トヨタ
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■いかついながら品よくまとめられたフェイス
今回の新型NV300コンビのポイントは、1/シャープで力強くなったエクステリアのデザイン、2/最新の排ガス規制ユーロ6.d-fullをクリアしたディーゼルエンジンの搭載、3/先進安全技術や先進運転支援システムを備えたコクピット、4/5年間、16万㎞の標準保証とした点、の4つ。
フェイスのアクの強さは、日本のドヤ顔王者「アルファード」や「ヴェルファイア」にも負けていない。大型のヘッドライトやメッキ範囲の大きなVモーショングリルなど、やり過ぎに感じるほど厳ついが、品よくまとめられており、シャープでカッコいい印象だ。
座席は、助手席ベンチシートと、折りたたみ式の取り外し可能なシートを備え、5人、6人、8人、9人乗りのシートアレンジが可能。全幅が1950mmを越えているため、一列に3人座りをしても、窮屈さは感じないだろう。
また、これまで、EURO 6.d-TEMP(6.2規格)対応だったエンジンは、排気量は2Lそのままに環境対応をさせ、最新のEURO 6.d full(6.3規格)対応となるようアップデートされた。
また、可変ジオメトリーターボチャージャーを搭載し、110psから170psの出力変化と、最大で380Nmものトルクが出せる優れたエンジンだ。ちなみに出力は、110hp(MT)、150hp(MT&AT)、170hp(AT)の3仕様から選択できる。
インテリアにも(これまでが10年以上昔のクルマのような、しょぼいインテリアだったので新鮮に見えるせいもあるが)、相当力を入れて進化させてきた。ダッシュボード周りは一新され、大型のナビゲーションモニターがダッシュボード最上段にレイアウトされており、ようやく他社車のトレンドに追いつけそうなところまできたといえる。
また、ブラインドスポットワーニングや、レーンデパーチャーワーニング(LDW)、アダプティブクルーズコントロール(ACC)といった先進運転支援装備(ADAS)も装備する。
日本市場では、ヤリスのようなコンパクトカーであっても当たり前に設定されるようになったADASだが、この手のクルマ(商用車)は、欧州では後回しにされてしまうことが多くあるようだ。むしろ、物流を支える職業ドライバーにこそ、ADASの恩恵は名いっぱい受けていただきたいと思う。
■日本導入の可能性は「限りなくゼロ」
新型NV300コンビのボディサイズについては、今回の発表では言及なかったが、おそらく、現行型のNV300とほぼ同サイズ、つまり4999×1956×1971(全長×全幅×全高mm)、ホイールベース3098mmになるはずだ。
日本市場で販売されている4ナンバーサイズのNV350キャラバンは、4695×1695×1990(全長×全幅×全高mm)とひと回り小さく、キャラバンのスーパーロングボディ(最長5230mm、車幅1880mm)であっても、NV300のほうが車幅は76mmも大きい。
ハイエースも4ナンバーサイズは、全幅1700mm以下。もし日本でこのNV300を見れば、相当大型なバンに見えるだろう。
そのため、日本での使い勝手を考えると、この新型NV300コンビの日本導入は考えにくい。日本で活躍しているキャラバンやハイエースは、車幅1700mm未満におさえながらも、大量の荷物を積載し、しかも最小回転半径はコンパクトカー並(キャラバン、ハイエースとも2WDで5.0m)と、小回り性能に優れている。
このキャラバンやハイエースのサイズ感こそが日本で商用バンとしてもっとも使い勝手のいいサイズ感であり、新型NV300コンビのおおらかな車幅は、日本市場で受け入れられることは難しいのだ。
■日本導入があるとすれば「グランエース方式」。しかし…
新型NV300コンビが日本で販売される可能性があるとすれば、トヨタ・グランエースや海外のハイエースのように、リムジン的な高級ミニバンとして、だ。
しかし、ここで大人の事情が絡んでくる。この新型NV300コンビの開発主はルノー(ルノー・トラフィックとNV300は兄弟車)。日産の意向だけでは、ガラパゴス化している日本市場だけに向けた(勝算の低い)企画なんて、通るはずもない。
日産が「(大きなビジネスにならなくとも)トヨタに一矢報いたい」と考えても、そうは問屋が卸さないのだ。新型NV300コンビが、日本導入される可能性は、「限りなくゼロ」といえるだろう。
■なぜか海外専売モデルはカッコイイ、日産車
どういうわけか、日産は海外向けのクルマのほうが、魅力的なものが多い。日本では見かけないため新鮮に見えるせいなのか、海外向けの大らかなデザインがなす効果か、街中で見かけると「カッコいい!! 出したら売れそう!!」と思うクルマがたくさんある。
例えば、(日本の国内認証を通す手間はかかるが)100台限定、とかでもいいから、NV300コンビを日本導入すると、日本国内での日産のブランドイメージが、変わってくるかもしれない。
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