中古車購入チェックポイント [2022.01.08 UP]
中古車の購入は4年落ちがポイント?経費面からみた節税対策を解説
社用車を購入しようと思っているが、「新車を購入するか」「中古車を購入するか」どちらにしようか迷っているという方もいるかもしれません。車を購入する際には、まとまった金額が必要になります。そのため、経費についてどのように計上されるかを知っておくことは重要です。
「4年落ちの中古車を購入することが経費面でメリットがある」と言われていますが、実際どのようなメリットがあるのでしょう?
今回は、車の購入における経費面からみた節税対策についての基礎知識や減価償却も含めて詳しく解説していきます。
新車を購入しようか中古車を購入しようか迷っている方は、参考にしてください。
この記事の目次
なぜ中古車が経費面で節税可能なのか?
確定申告を行う時に、経費が多くかかっている状態であれば所得金額を抑えることも可能となり、節税対策にもなります。そのため、中古車を社用車で購入すると全額経費計上できるのかがポイントになります。年度内に全額経費計上可能な要件は、青色申告している中小企業等が、年度内に取得価額で30万円未満の減価償却資産を購入した時です。
購入した車の耐用年数に応じて減価償却費として計上していきますが、300,000円未満で購入した時は、全額経費計上することが可能です。
しかし、複数台社用車として購入する場合もあるかもしれません。その際は特例を受けられる減価償却の取得価額合計限度額が定められており、300万円まではその対象になります。
したがって、中古車で経費計上を行う時に30万円未満であれば、節税になります。
年式や走行距離にこだわらないのであれば、価格の安い車を購入することで経費計上を早期に行うことも可能です。
中古車の減価償却の考え方とは?
新車購入であれば減価償却の方法は耐用年数も同じになるため、経費計上も一律の方法で行うことが可能です。しかし、耐用年数の異なる中古車は、その計算式を知っておくことが重要になります。
それでは、中古車の減価償却を考える際、どのような点がポイントになるのか、減価償却の基礎知識も踏まえて詳しく解説していきましょう。
①新車の耐用年数
車の減価償却には法定耐用年数が存在します。法定耐用年数とは、国が決めた年数で「あと何年間業務で使用可能か」を明記したものです。つまり、その期間が経費として計上できる年数になります。
新車における法定耐用年数は、普通自動車と軽自動車で違いがあります。具体的な耐用年数は以下の通りです。
・普通自動車:6年
・軽自動車:4年
・バイク:3年
・自転車:2年
新車で購入した時には「普通自動車は6年」「軽自動車は4年」になっており、明確に決められています。それに沿った減価償却が必要です。
②中古車の耐用年数
中古車の耐用年数については、その車の法定耐用年数の経過がどのぐらいかによって決定します。中古車の耐用年数は計算式があり、それに基づいて算出します。法定耐用年数が経過していない時と経過している時では異なりますので、注意が必要です。
■法定耐用年数を経過していないケース
(新車法定耐用年数ー経過年数)+経過年数×0.2
例えば、3年落ちの中古車で普通自動車を購入した場合で計算してみましょう。通常計算する時は、年数を月数に直し、1年未満は切り捨てにします。
普通自動車の新車法定耐用年数は6年=72ヶ月なので、以下の計算式になります。
(72ヶ月ー36ヶ月)+36ヶ月×0.2=36ヶ月+7.2ヶ月=43.2ヶ月
よって3年7.2ヶ月なので1年未満は切り捨てになり、耐用年数は3年になります。
■法定耐用年数を経過しているケース
新車法定耐用年数×0.2
普通自動車の法定耐用年数は6年ですので、6年以上が法定耐用年数を超えていることになります。その際は年数が経過しても耐用年数が変わりません。
6年落ちの中古車で、普通自動車を購入した場合の計算式です。この場合、1年未満は切り捨てですが、2年未満は2年になることがポイントです。
72ヶ月×0.2=14.4ヶ月
つまり普通自動車で6年以上であれば、一律耐用年数は2年になります。
③定額法
定額法は、毎年同じ金額で減価償却をする方法です。一般的に個人事業主が車を購入した時には、この方法を使います。法人の場合は申請をすることで定額法を選択することも可能です。
例えば、100万円の中古車を耐用年数4年で減価償却すると、1年間あたり25万円が経費として計上できます。
定額法のメリットは、毎年同じ金額で経費計上が可能で、面倒な計算も必要がないため経理処理がしやすいことが挙げられます。
④定率法
定率法は、毎年一定の割合で減価償却をする方法です。定率法の場合は償却率が決まっているため、それに応じて計上できる金額が異なります。
そして、定率法のポイントは初年度の償却率が大きくなることです。
例えば100万円の中古車を定率法にして償却率0.500で4年で減価償却すると以下のようになります。
1年目:1,000,000×0.500=500,000円
2年目:500,000×0.500=250,000円
3年目:250,000×0.500=125,000円
購入年度に多くの金額を経費計上にするのであれば、定率法が良いと言えます。
また、普通自動車の耐用年数における償却率は次のようになります。
耐用年数:償却率
6年:0.333
5年:0.400
4年:0.500
3年:0.677
2年:1.000
ここで注目するポイントは、耐用年数2年の場合です。償却率が「1.000」になっています。つまり、その年に経費として計上できる金額が100%であることを意味しています。耐用年数によっては一括で計上できることも知っておきましょう。
節税を考えて中古車を購入する時には、経過年数が重要になります。先程お伝えした中古車の耐用年数計算式で考えると、2年になる一番新しい年数は3年11ヶ月~です。
中古車の購入で4年落ちが節税になる理由は、定率法で減価償却をする時に1年で償却できるためです。
法人の場合は特に申請しない限り定率法なので問題ありませんが、個人事業主の場合は税務署に対して確定申告の申告期限までに、定率法の変更を届け出る必要がありますので注意しましょう。
中古車購入時の仕訳方法は?
基本的に新車でも中古車でも同様に勘定科目に当てはめて仕訳を行っていきます。ただし、購入方法によって仕訳方法は若干異なりますので、知っておくと経理処理にも役立つでしょう。
ここからは、「一括購入」「ローン購入」「リース」の3つのケースについて詳しく解説していきます。
一括購入の仕訳方法
具体例を挙げていきます。車両本体価格150万円の中古車(4年落ち)を購入した時の仕訳方法です。その他、諸経費として自動車重量税50,000円 自賠責保険50,000円、代行手数料50,000円、リサイクル費用20,000円がかかると仮定します。一括購入した際の仕訳です。
<借方>
車両運搬具:1,500,000
租税公課:50,000
保険料:50,000
支払手数料:50,000
リサイクル預託金:20,000
<貸方>
現金:1,670,000
勘定科目については以下の通りです。
・車両本体価格→「車両運搬具」
・自動車重量税→「租税公課」
・自賠責保険→「保険料」
・代行手数料→「支払手数料」
・リサイクル費用→「リサイクル預託金」
購入した時の経費処理は、上記のように行います。そして、決算期末には減価償却を行います。
耐用年数が2年なので、一括処理が可能です。仕訳は以下の通りです。
<借方>
減価償却費:1,670,000
<貸方>
減価償却累計額:1,670,000
このように、耐用年数2年であれば償却率が「1.000」なので購入した年度で経費計上できるので、手間も省け節税対策にも繋がります。
ローン購入の仕訳方法
ローンで車を購入する時に仕訳が必要なことは、「頭金」「購入時」「ローン支払時」の3点です。具体例として、車両本体価格150万円の中古車(4年落ち)を購入し、頭金500,000円を支払ったとします。その他、諸経費として自動車重量税50,000円 自賠責保険50,000円、代行手数料50,000円、リサイクル費用20,000円がかかると仮定します。
■頭金の支払時の仕訳
<借方>
仮払金:500,000
<貸方>
現金:500,000
■購入時の仕訳
<借方>
車両運搬具:1,500,000
租税公課:50,000
保険料:50,000
支払手数料:50,000
リサイクル預託金:20,000
<貸方>
未払金:1,170,000
仮払金:500,000
ローン支払時の仕訳
<借方>
未払金:100,000
支払利息:10,000
<貸方>
普通預金:110,000
ローン支払例として、元金が100,000円、利息が10,000円であると仮定した時の仕訳方法です。
ローンの返済金は経費計できません。ただし、利息に関しては経費として処理することが可能です。
減価償却については、購入した車はローンでも会社の資産になりますので、一括購入と同様に減価償却できます。
リースにした時の仕訳方法
社用車として車を利用する時に、新車や中古車を購入する方法もありますが、カーリースを利用する方法もあります。カーリースとは、毎月定額料金でリース期間中は車を借りることができる方法です。月々の料金には、重量税や自賠責保険料も含まれているため、別途支払う準備もありません。また、車検費用やメンテナンス費用も月々の支払費用に入れることができるオプションもあります。
リース取り引きの記帳方法については、リース取り引きに関する会計基準の適用指針(企業会計基準委員会)により、リース料金の総額が300万円以下のリース契約などの条件を満たしていると、賃貸借処理を行うことが認められています。
例えば、月々のリース料金が38,500円の場合は以下の仕訳になります。
<借方>
リース料:38,500
<貸方>
普通預金:38,500
カーリース契約にした時、車を購入する場合と異なることは、固定資産として計上することや減価償却を行ったりする必要がないことです。そのため、経理処理の手間が少なくなります。
中古車購入する前に知っておくべき注意点
ポイントとなるのが、「購入時期」「申告方法」「購入目的」です。それを知っておくことで最大限の節税対策に繋がります。
以下4つの注意点について理解を深めておきましょう。
注意点①決算期末に購入を控える
車を減価償却する時には、決算期末に購入することを控えることが重要です。理由として、車の償却単位は年単位ではなく「月単位」で行うからです。したがって、購入の時期によっては最短の1ヶ月分になることもあります。
節税対策をするため4年落ちの中古車を購入したとしても、一括計上できるのは年度初めの場合です。最大限経費計上を行うためには、車を年度初めの月に購入しておけば減価償却する際にも活かされます。
購入時期については特に注意することが大切です。
注意点②個人事業主は節税効果を最大限引き出せないケースもある
個人事業主の場合は、青色申告と白色申告があります。青色申告は決算書の作成もあって難しい部分もありますが、節税対策には有効です。少額減価償却の特例も適用されます。30万円未満であれば、一括で償却可能です。
しかし、白色申告の場合は青色申告のように特例も適用されないので、10万円以上の資産は減価償却を行う必要があります。そのため、30万円未満の中古車を購入しても、申告の方法によって節税効果が薄くなることは知っておきましょう。
注意点③車の使用目的は事業目的で購入する
経費処理を行う時に、車の利用目的がプライベートの使用であれば、経費処理をすることはできません。これは法人や個人事業主でも同様です。法人であれば事業目的で購入するケースが大多数ですので、プライベート使用はあまりないでしょう。
しかし、個人事業主であれば仕事とプライベートで利用することが多いかもしれません。このような場合は「家事按分」が必要になります。これは仕事で利用する割合に応じて経費処理を行う方法です。
例えば、購入した車の利用頻度が「仕事:プライベート=6:4」であれば、かかる経費の6割を計上できます。
家事按分の割合を決めることは、法律で規定しているものではないため難しいところもあります。しかし、不自然な按分であれば指摘されることもありますので、根拠を用意しておき設定すると良いでしょう。
注意点④車の付随品でも経費計上は可能
車の付随品とは、カーナビやホイールなどの車両本体以外を指します。付属品を車とは別に購入した際は、車と別の資産として扱うことも可能になります。青色申告なら30万円未満であれば、経費を全額計上することもできます。状況にもよりますが、決算期末や耐用年数によって減価償却する経費が増えない時には、付属品は別で購入することで節税することも可能です。
経費計上できる車の費用と勘定科目とは?
これらの費用については、社用車として使用しているのであれば経費にすることが可能です。しかし、リサイクル料は経費にできないので注意しましょう。
車にかかる費用の内訳について、勘定科目を一覧にしておきます。
<経費として計上できるもの>
・自動車重量税、自動車取得税、自動車税、印紙代→「租税公課」
・自賠責保険、任意保険→「保険料」
・検査登録、車検費用、修繕修理費、車庫証明手続代行→「車両費」
・ガソリン代→「車両費または燃料費」
・駐車場代(月極の場合)→「地代家賃」
<経費にならないもの>
・リサイクル料→「リサイクル預託金」
個人事業主であれば、車を仕事とプライベートで使用している時に家事按分をして申告しなければなりませんが、経費として計上できるものは多くあります。
節税対策をするためにも、こまめにかかった経費を算出しておくと申告の際に役立つでしょう。
まとめ
①中古車は購入年度の減価償却費が多く、4年落ち(3年11ヶ月)以上の車は一括経費計上が可能
②購入年度に多くの減価償却を行いたい場合、定率法を利用する
③決算期末に購入してしまうと節税効果は薄い
④事業目的での購入しか経費として処理されない
⑤税金・保険料・ガソリン代なども経費計上可能
⑥個人事業主は、青色申告をすることで税金面でも優遇される
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