想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、98NOTEの愛称でデビューしたノート型PC-98シリーズの第1弾「PC-9801N」となります。発売は1989年発売。
1980年代の中頃までは多数の会社から発売されていたパソコンですが、80年代の終わりが見えてくる時期になると、そのメーカーは徐々に絞られていきます。そんななか、1989年11月24日にNECが持ち運べるPC-98としてリリースしたのがPC-9801N・愛称98NOTEでした。
当時、ノートパソコンは東芝のDynabook(J-3100 SS)が先に発売されていて、NECはその後を追う形で3カ月という短期間で本機を開発したことがこちらに書かれています。筆者も、そのあたりを知る人物に話を聞いたことがあるのですが、残念ながら現時点でも情報公開禁止と言われているために書くことかなわないものの、確かに引用記事のような感じでした。
広告では「98NOTEは、PC-9800シリーズの機能をA4ファイルサイズにまで凝縮した、まったく新しいパソコンです。」と謳い、デスクトップのPC-98シリーズがそのままダウンサイジングした、と打ち出しています。そんな本機の特徴はいくつもありますが、そのうちの1つがRAMドライブではないでしょうか。
従来のPC-98シリーズは、5インチまたは3.5インチドライブを2基内蔵しているモデルがほとんどで、ソフトウェアも2ドライブ搭載を前提に作られていました。そんな市場に対して投入されたPC-9801Nはドライブを1基しか備えていないため、そのままでは市販ソフトの運用に支障を来してしまいます。そこで設けられたのが、1.25MBの容量を持つRAMドライブでした。
ここに、立ち上げ時に使用するディスクの内容を丸ごとコピーしておくことで、ソフトの起動ディスクレスでゲームをプレイしたりビジネスソフトを使うことができます。ただし、起動ディスクにプロテクトがかかっているとコピーが出来ませんので、そのような作品は運用することができませんでした。
PC-9801Nがそれほど大きなインパクトを与えなければ各ソフトハウスもスルーしたのかもしれませんが、そうではなかったのでしょう。本機の登場をきっかけとして、“起動ディスクはノンプロテクトとし、別のディスクにプロテクトをかける”ソフトが登場したほか、一部はマニュアルプロテクトに移行するなど、コピープロテクトといった面での変化ももたらすこととなります。
PC-9801Nのスペックですが、CPUにはV30の10MHzを採用。メインメモリは640KBで、グラフィックVRAMは256KBを搭載しています。画面はELバックライト付き液晶ディスプレイで、640×400ドット8階調2画面となっていました。
搭載したバッテリーは、フル充電ならば約1.5時間の稼働が可能で、大容量バッテリパックを用いれば約3時間使用することができます。それでいて、サイズは横316×奥行き253×高さ44mm、重さは2.7kgと、ほぼA4サイズに納まっていました。2.7kgという重量は、実際に持つと少々ズッシリとした感じです。これにACアダプタも加わるとほぼ3kgとなるため、現在では持ち運ぶ気にはならないかもしれません(笑)。
ディップスイッチは、それまでのPC-98シリーズと比べると数が少なくなり、さらには開けた蓋の部分に内容が簡易に書かれているので、いちいち調べる手間が省けたのは便利な部分です。その隣にリセットスイッチが配されたことで、蓋を閉めておけばうかつにリセットボタンを押してしまうことがないというのも、従来のデスクトップPC-98シリーズとは違う改良部分でしょう。
HELPキーを押しながら電源をオンにするか、HELPキーを押しながらリセット/CTRL+GRPH+HELPキーのいずれかで「98NOTEメニュー」を呼び出すことができます。ここからRAMドライブへのコピーを行ったりできるほか、実ドライブを第1/第2ドライブにするなどの設定も行えました。
PC-9801Nの登場によって場所を問わずPC-98シリーズを使用することができるようになり、ゲームもわざわざパソコンデスクに向かうことなく、布団の中で遊ぶことができるようになりました。このような部分が影響したのかどうかは分かりませんが、本機は年度末までの約5カ月間で5万台の出荷を予定していたそうですが、結果としては10万台を出荷する大ヒット製品となったとのことです。
からの記事と詳細 ( あのPC-9801がノートサイズになった!「NEC PC-9801N」 - AKIBA PC Hotline! )
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