ふだん本は電子ではなく紙をメインに購入している人でも、技術書だけは電子で揃えているという人は多い。分厚い書籍であっても手軽に持ち歩けるほか、しおりをつけたり、単語で検索して目的の箇所を探すという、電子書籍ならではの強みは、技術書ならばより活きてくるからだ。
今回は、そんな技術書の表示に適したデバイスについて考察してみよう。なお技術書の表示サンプルには、あーちゃん/できるシリーズ編集部著「できるPower Automate Desktop」を使用している。
技術書を読むのに適したデバイスとは?
一般的に技術書というジャンルは、電子書籍の中でも、他とはやや違う特性がいくつかある。
まず1つは、ページを先頭から最後に向かって読んでいくのではなく、目的の章だけ目を通したり、同じ箇所を繰り返し表示するといった読み方が多いことだ。それゆえページを飛ばして移動しやすいインターフェイス、タグやしおり、キーワード検索を使って目的のページを呼び出せる機能は欠かせない。
さらにスタイラスペンを使ってメモを書き込んだり、必要な箇所を囲ったりする機能もあると便利だ。一般的な電子書籍も、任意の文字列にマーカーを引く機能があるが、さらにメモを書き込むことができれば、その技術書は自分にとってもより貴重なものへと進化していく。
もっとも技術書というジャンル自体、本の作りは千差万別で、読む側が求めるものも十人十色なので、表示さえできれば余計な機能は不要という人もいるだろうし、さらにタブレットではなくPCで表示したいというニーズもあるはずだ。デバイスを選ぶに当たっては、こうした読み方を、あらかじめ想定しておくことが望ましい。
ところで技術書はその他のジャンルと異なり、出版社がPDFで電子版を用意しているケースが多いのも特徴だ。DRMフリーだったり、メールアドレスを埋め込んだソーシャルDRMだったりと仕様はさまざまだが、電子書籍ストアとはひもづかず、単体で手元に置いておけるため、デバイスの制約は一般的に少ない。
ただしいずれの場合も、固定レイアウトのコンテンツが多くを占めるため、画面が小さすぎるのはNGだ。一定の画面サイズがあれば見開き表示にも対応するほか、左右で別々の書籍を表示するなどの芸当も可能になる。なにより、手で押さえていなくても本が閉じないのは紙の本にはない利点で、作業しながら参照することの多い技術書では重宝する。
サイズ違いのほか、PCのディスプレイで読む選択肢も
以上がおすすめの2製品となるが、これ以外の選択肢を見ていこう。
まずは、画面サイズにそれほどこだわりがなく、ハンドリングをより重視したい場合は、前述の2製品の小型版が候補となる。12.9インチiPad Proについては11インチiPad ProかiPad Air、QUADERNOについてはA5モデルがそれに該当する。
いずれも画面サイズが10型クラスというだけで、ここまで紹介した機能はほぼそのまま利用できる。ただし見開き表示については、解像度は問題ないものの、注釈などの文字は小さすぎて読みづらい。逆に言うと、見開きが不要で単ページ表示で十分という人は、最初からこちらをメインに考えてもよいかもしれない。もちろんコスト的にも有利だ。
一方で、画面を見ながらプログラミングなどの作業を行う場合、タブレットにこだわらず、PCのディスプレイに表示する手もあるだろう。例えば今回試用しているサンプル書籍は紙版が182×232mm、見開きだと364×232mmなので、PC用のワイド比率のディスプレイで言えば19型(420×240mm)以上なら、原寸サイズでの表示が可能だ。
ただしPCのディスプレイに表示する場合、タブレットで読むのと比べ、画面と目との距離がより離れているのが一般的なので、実際には24~32型程度のサイズがないと、毎回画面に目を近づけて読まざるを得なくなる。電子書籍を表示する用途でディスプレイを調達するならば、多少オーバーであっても、なるべく大きい画面の品を選ぶことをおすすめする。
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