新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した浜松市東区有玉南町の認知症高齢者グループホーム「グレィス有玉」と同区天王町の有料老人ホーム「天王謝老夢(しゃろうむ)」の関係者が9日、取材に対し、従業員がマスクを外して入所者の介助に当たることもあったと明らかにした。
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施設関係者によると、マスクを外した背景にはマスクを怖がる入所者がいたり、耳が遠い入所者にはマスク越しの声が聞き取りにくかったりするなどの事情があった。陽性者が判明した後はマスクと防護服を着用して介助に当たった。一方、医療関係者の話では、防護服の着脱や処理、手指衛生の方法には課題があったという。
災害派遣医療チーム(DMAT)として施設の支援に入った医師は「職員や面会者が手指衛生や咳(せき)エチケット、3密回避を徹底し、施設内にウイルスを持ち込ませないことが最も大切」と強調する。感染者が確認された後は、早期に感染対策の専門家が施設に介入する仕組みが必要だとも指摘した。
市はクラスターの発生を受けて、高齢者施設などを運営する市内の約1300事業所に、国からの感染防止対策を改めて確認するとともに、マスク着用や消毒を徹底するよう文書で要請した。各施設の運営状況を確認する立ち入り調査を、感染防止対策の観点に絞って緊急実施する検討も始めた。市内の高齢者施設は膨大な数に上るため、入所施設を中心に行うことなども視野に調整する。
■面会制限や消毒頻繁 閉鎖的生活に懸念
浜松市内の高齢者施設2カ所で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生したことを受け、市内の高齢者施設は面会を制限したり、消毒の回数を増やしたりと感染対策の強化に乗り出した。一方で、施設からは感染対策の限界や、外部とのつながりが絶たれる入所者の心身への影響を懸念する声も上がる。
「どの施設でも感染者が出る可能性がある。気を引き締めなければいけない」。同市南区の特別養護老人ホームの施設長は、自らに言い聞かせるように語った。予約制で受け入れていた面会をはじめ、理美容やリハビリなど業者の出入りも制限する措置に踏み切った。だが他者との交流が減ることで「入所者の生活が閉鎖的になるのが心配」と打ち明ける。
同市中区のグループホーム「セントケアホーム曳馬」は換気や消毒回数を増やし、共有スペースのテーブルにアクリル板を設置するなど対策を強化した。
「入所者に感染対策を求めるのは限界がある」と話すのは、市内でグループホームや有料老人ホームなどを運営する脳リハビリネットワーク(西区)の渥美三枝子施設統括所長。
認知症の入所者にマスクや手洗いの目的を理解してもらうのは難しく、「職員がウイルスを持ち込まないことが何より重要」と強調する。職員は定期的に感染対策を見直し、感染者が出た時の実践的なシミュレーションも行っているという。
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