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Thursday, September 17, 2020

気軽に遊べる手のひらサイズのシンセ&MIDIコントローラー、Artiphon「ORBA」を叩いて・振って演奏してみた(BARKS) - Yahoo!ニュース

シンセサイザーであり、ルーパーであり、独創的なMIDIコントローラー。手のひらサイズのかわいいルックスと多彩な機能で注目を集めている米Artiphonの最新ガジェット楽器「ORBA」は、昨年、クラウドファンディングのKickstarterに登場。目標額の5万ドルを大きく上回る支援を集め、製品化が決定。この秋、メディア・インテグレーションにより国内販売がスタートした。9月17日の発売を前にその実機をチェックできたので、レポートをお届けする。 ORBAはシンセサイザーとスピーカーを内蔵し、本体だけで演奏が楽しめるシンセサイザー。演奏をレコーディングできるルーパー機能搭載でカンタンな曲作りも可能。さらにBluetooth MIDIやUSB接続したコンピューター/スマホを介してDAWやシンセサイザーのコントロールもできる。その概要を知るには公式動画が手っ取り早い。 このように非常に多機能なデバイスなのだが、その価格は11,000円ととてもリーズナブル。そんなわけでSNSでも大きな話題となっている。 それではさっそくORBAがをチェックしていこう。パッケージに入っているのは、ORBA本体とUSB-Cケーブル、そして英語のQuickstartガイドのみ(日本語マニュアルはPDFをダウンロード提供)。まずは、USB-Cケーブルをスマホの充電器などにつないでORBAを充電。充電中でも演奏やルーパーなどすべての機能が使えるので、すぐに演奏が楽しめるのはうれしいところだ。 本体はグレープフルーツを半分に切ったような半球体形状で、手のひらにすっぽり収まるサイズ。作りはしっかりしておりがたつくところはないし、表面には指紋がつきにくい加工が施されており、なかなか高級感のある仕上がりだ。また、本体は適度な重さがあり、テーブルに置いて叩いてもぐらつくことはない。 球体断面にあたるトップパネルに並ぶのは、真ん中にAと記された丸いパッドと、それを取り囲む8つのパッド。タッチする速度や位置を検出するタッチセンシティブパッドとなっており、軽く触れただけでも敏感に反応してくれる。さらに加速度計とジャイロスコープも搭載。これらを組み合わせてさまざまな演奏表現が可能となっている。 ■まずは音を鳴らしてみよう 電源ONで8つのマルチカラーLEDが赤・緑・青と点滅し、「DRUM」と書かれたパッド1のLEDが点灯。パッド1-8をタップすればドラム音が鳴る。これがドラム・モードだ。1がバスドラム、2がスネア、3と4がハイハット(クローズ/オープン)と言った具合。複数のパッドを同時に叩くことも可能。叩く強さに反応して音量がコントロールできるし、オープンハイハットやシンバルはタップいた指を止めれば短い音になり、すぐに離せばディケイの長い音になる。かなり細かいニュアンスも表現できる。大人の指でもフィンガードラムが楽しめるパッドのサイズも絶妙。さらにパッド8を押さえたまま本体を左右に動かせばシェイカーが鳴り、本体側面を叩けばクラップ音が鳴る。これだけでもコンパクトな電子打楽器としてさまざまなシーンで活躍してくれそうだ。 また、タップすると一瞬振動が指に伝わる。最初はスピーカーが震えているのかと思ったのだが、音量をゼロにしても振動が伝わってくる。パッドは硬く、鍵盤のように沈むこともないが、操作に対するフィードバックがあるおかげでタップできたことがはっきりと把握できる。これなら操作ミスも少ないはず。 続いてAを押すと、「BASS」と書かれたパッド2のLEDが点灯。こちらはモノフォニックのベース音のベース・モード。ドからシ+オクターブ上のドの8つの音が各パッドに割り当てられている(Cメジャーダイアトニックスケール)。 ベース以下の音階楽器のモードは、ジェスチャーを駆使することでドラム以上にさまざまな演奏表現が楽しめる。パッドをタッチしたまま、パッド上で指を円周方向に動かせばビブラート(音程変化)、外側から内側の方向に動かせば音の明るさや音量が変化する。そして本体を傾ける動作はモジュレーション。音を揺らすことができる。 パッド3「CHORD」はコード・モード。複数の音を同時にトリガーする。楽器経験がない、鍵盤やギターのコードの押さえ方が覚えられないという人も、ORBAなら指一本で鳴らせるので、自由に鳴らしているうちに気に入ったコード進行ができる。気軽に作曲気分が味わえるというわけだ。パッドへのコードの割り当ては下図のとおり。 パッド4「LEAD」はリード・モード。メロディ演奏に適した複数の異なる音を同時に鳴らせるリードシンセだ。こちらはペンタトニックスケール(5音でできた音階)にチューニングされているので、どのコードに重ねても違和感なく演奏できる。音を外すことはないので、気軽にソロ演奏を楽しもう。 これら4つのモードはパッドAのタップで、ドラム→ベース→コード→リード→ドラムと切り替わる。ダイレクトに切り替えたい場合はパッドA+番号でOK。ドラム・モードでA+パッド4(LEAD)をタップすればすぐにリード・モードになる。 ■ルーパーで音を重ねていこう ひととおり演奏を楽しんだら、次は4つのモードの音を重ねて録音していける「ルーパー」を試してみよう。まずは好きなモードを選べば準備OK。A+パッド6(REC)を押して、指を離したタイミングで内蔵メトロノームがスタートする。 まずはこのメトロノームの音を聞いて曲のテンポを把握してから、キックとスネアを4小節ほどレコーディング。レコーディングは最初のキックの音を演奏したポイントがスタートとなる。4小節を叩き終えたタイミングでパッドAをタップすれば1つめのパートのレコーディングが終了。と同時に、今レコーディングしたループの再生がスタートし、次のパートのレコーディングが可能になる。 ループレコーディング中は、LEDが1から8まで順に点灯。ループの頭に戻るとすべてが消灯し、また1から点灯していくので、タイミングを見誤ることもない。あとは好きなだけ音を重ねてレコーディング(オーバーダブ)していく。そのままハイハットを追加してもいいし、モードを切り替えてベースやリードを重ねてもいい。 オーバーダブせずにレコーディング済みパートを再生するなら、再度パッドA+6でレコーディング解除(メトロノームは止まるが再生は継続)。停止中ならパッドA+5(Play/Pause)をタップ。レコーディング前にフレーズを練る際にはこちらを使おう。演奏をミスした場合は、そのパートだけをクリアすることも可能だ(録音/再生が停止した状態でAボタンを押したままORBAを振るジェスチャー)。 曲によってはテンポやパートの音域を変更したい場合もあるだろう。テンポ変更はAを押したままパッド7(BPM)を数回タップすればOK(多くの楽器にあるタップテンポと同じ)。オクターブ変更はA+パッド8(OCT)をタップして指を上下にスライドさせればよい。 レコーディングしたループは本体の電源を切っても消えないが、別の曲を始めたいと思ったらすべて消さなければならない。自慢のループができたら次項のアプリに保存すれば、いつでも復元可能だ。 ■アプリでソング保存&各種設定 ORBAの専用アプリは、Windows用とMac用のデスクトップアプリ、そしてiPhone/iPad用のモバイルアプリが用意されている(Android用は開発中)。接続はMac/iOSならBluetooth MIDIが使用可能。WindowsはUSBケーブルで行う。 アプリでは前述のとおり作成したループをSONGとしてコンピューター保存可能。また、本体ではできない、各モードのプリセット(音色)を入れ替えたり、キーの指定などが行える(SONGにはプリセットやキー設定も保存される)。また、ループをオーディオまたはMIDIファイルとして出力することも可能だ。 このほかORBAアプリでは、バッテリー状態確認、ORBA内蔵スピーカーのON/OFF設定(DAWなどをコントロールする際に使用)、ピッチベンド幅の設定が可能。デスクトップアプリではファームウェアのアップデートも行える。また、DAWやソフトウェアシンセをコントロールする際のMIDIモードはMPE、Single Channel、Channel-Per-Partから選べる。MPEは各ノートに対してコントローラー情報を付加できるもので、対応シンセでは多彩な演奏表現が可能になる。Single Channelはどのモードもチャンネル1で固定、Channel-Per-Partでは各モードがそれぞれチャンネル10、9、16、1に送出される。 ■MIDIコントローラー機能でシンセをコントロール 現時点でORBAの内蔵シンセの音色はシンセサウンドがメインで、リアルなアコースティック楽器の音色は用意されていない。より多彩な音色でORBAの表現力を生かしたいとなったら、シンセアプリなどを使うのが手っ取り早い。ORBAをコンピューターやスマホのMIDIコントローラーとして使おうというわけだ。ORBAは一般的なMIDIデバイスとして認識されるので、ほぼすべてのDAWソフトやシンセアプリでの使用が可能。MacやスマホならBluetooth MIDI、WindowsならUSBケーブルで接続すればOKだ ORBAが送信できるのはパッド1から8のタップによる音階の演奏=ノート情報と、ジェスチャーによるコントロールチェンジ(CC)など。前述のもののほか、以下のジェスチャーとMIDIメッセージでシンセをコントロールできる。 ●Tap(タップ) パッドをタップ。強くタップすればするほど大きな音に。 MIDIメッセージ:Note On/Off ●Vibrato(ビブラート) タップしてパッドの上で指を上下に動かして音程を変化させる。 MIDIメッセージ:Pitchbend ●Press(押し込む) パッド上で指をタップしたままホールド、指が触れる面積の変化で動作。指を広げるほどより多くPressが反映される。Orba内蔵シンセではモジュレーションを調整する。 MIDIメッセージ:Channel Pressure ●Radiate(放射) パッド内を指で押して、中心から端まで動かす動作。明るさを調整する。Orba内蔵シンセではボリュームやエンベロープなどのエフェクトに影響を与える。 MIDIメッセージ:Brightness - CC#74 ●Tilt(傾き) 横に傾けるとエフェクトがかかる。伝統的なキーボードコントローラーのモジュレーション・ホイールと同じ。MIDIメッセージ:Mod Wheel - CC#1 ●Spin(回転) Orbaをノブのように回転させる。 MIDIメッセージ:CC#112 ●Move(動かす) Orbaを動かすと、モジュレートなどのサウンドエフェクト効果が得られる。 MIDIメッセージ:CC#113 ●Shake(振る) ドラムモードではパッド8を押したままOrbaを振るとシェイカーのノートとCC#2を送出。左右へのソフトな動きにすると効果的。 MIDIメッセージ:MIDIノート69 および CC#2 ●Bump(叩く) Orbaの側面をタップ。ドラム・モードではクラップサウンドが発音。 MIDIメッセージ:MIDIノート39 シンセに慣れている人なら、これらのジェスチャーを駆使すればこれまでにない方法でシンセを柔軟にコントロールできるのがわかるはず。ただ、シンセの各パラメーターへのMIDIメッセージ割り当てにはちょっと注意が必要だ。数値で指定できるシンセなら問題ないが、一部のシンセでは実際にMIDIメッセージを送って指定する「MIDIラーン」と呼ばれる指定方法しかない場合があるからだ。 たとえば、あるパラメーターにORBAのTilt(CC#112)を割り当てようとしてORBAを傾けると、同時にShake(CC#2)やMove(CC#113)も送信されるので、意図しないCC#が割り当てられてしまう。これを解決する手段として用意されているのが、ユーティリティプリセットというORBAデスクトップアプリ用のプリセットデータ。「Tilt Only」「Shake Only」といったプリセットを使用することで、一度に一つのジェスチャーだけが送られるようになる。これを利用して設定を済ませ、いくつかソフトウェアシンセを試したが、これがなんともいえない不思議な感覚。従来のMIDIコントローラーにはなかった複雑で偶発的な音色変化が楽しめた。 以上、ORBAのおもな機能を紹介してきた。このほかループUSB接続の際はコンピューターのオーディオをORBAのスピーカーから鳴らすこともできるし、リアルタイム演奏だけでなくレコーディング済みループもMIDI情報として出力可能だ。本体だけで演奏しても楽しいし、DAWやシンセサイザーと組み合わせてもおもしろい。楽器演奏の経験のない人からDTMやシンセサイザーに精通した人まで、幅広い層に受け入れられるアイテムなのは間違いない。アイデア次第でさまざまな使い方もできる。ぜひ一度手にとってORBAでしか味わえない演奏体験を楽しんでほしい。 製品情報 ◆ORBA 価格:11,000円(税別) 発売日:2020年9月17日

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September 18, 2020 at 09:36AM
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