新車を購入する時、純正ナビの価格の高さに閉口したことはないだろうか?
例えば新型フィットのベーシック1.3Lガソリン車の価格は155万7600円だが、メーカーオプションの純正ナビ、「ホンダコネクトfor Gathers」は19万8000円と実に車両価格の約13%に達する。
はたして高価なナビを必ず取り付けなければいけないのだろうか? スマホナビや10万円程度の社外品ナビではダメなのだろうか?
そこで、純正ナビ、社外品のナビ、ポータブルナビ、スマホナビを比較し、純正ナビを取り付けた方がいいのか、モータージャーナリストの岩尾信哉氏が解説する。
文/岩尾信哉
写真/ベストカーWeb編集部 トヨタ ホンダ LINE
【画像ギャラリー】最先端のディスプレイオーディオを標準装備するクルマ
純正ナビの利点とは?
純正ナビは文字通りメーカー純正なので、ナビが入るスペースにすっきり収納されるというのは当然として、純正ナビの利点はどのようなものがあるのだろうか? まずは各メーカーの主な純正ナビを探ってみた。
■トヨタ
トヨタはナビ/オーディオの装備について、新たな取り組みとしてディスプレイオーディオの展開を開始している。プリウスを例に価格設定を見てみると、なにより装備の設定の複雑さが目立つ。
●トヨタプリウス(256万5200~354万3100円)/車両価格比:約3~16%
・T-Connect SDナビゲーションシステム:36万1900~43万6700円
・ナビレディセット:4万4000円
・パノラミックビューモニター付ナビレディセット:5万5000~6万500円
・エントリーナビ:8万9100円
・T-Connectナビ8インチモデル:15万8400円
・T-Connectナビ 9インチモデル:24万6400円
あくまで参考ながら、アルファード(343万8600~764万1700円)のナビの純正セットオプション価格は、ほとんどの車両価格比で約10~20%に達している。T-Connect SDナビゲーションシステム+JBLプレミアムサウンドシステムは実に65万6000~74万3500円だ。
■ホンダ
新型フィットの純正ナビのラインナップは豊富で、全体として価格が抑えられている印象がある。インターナビ付きシステムが基本だが、多くの購入者がGathersナビを選択している。
併記した軽自動車のN-BOXについても設定価格はほぼ変わらない。購入時にはインターナビとホンダコネクトの機能と価値をどう捉えるかということになるはずだ。
●ホンダフィット(155万7600円~241万1200円)/車両価格比:7~13%
・インターナビ:9万6800~15万4000円
・ホンダコネクトfor Gathers+フィット専用ナビ(9インチ):19万8000円/20万9000円(インターナビ付き)
●ホンダN-BOX(141万1300~212万9600円)/車両価格比:約8~10%
・インターナビ:10万7800~14万800円
・Gathersナビゲーション:20万9000円
■日産
日産も従来の通信サービスとして「カーウイングス」に続くかたちで、スマートフォンと接続して専用アプリで機能を利用できる「ニッサンコネクト」(ディーラーオプション設定)の採用を進めている。
渋滞情報を考慮して最も早く到着するルートをご案内する最速ルート探索、走行中でも目的地の設定が可能なオペレーターサービスに加えて、マイカーファインダー、リモートドア、警告灯通知案内などの機能をもつ。
車種によって機能が変更され、売れ筋のセレナにはプレミアムとベーシックの2つの仕様が設定されているが、価格設定は割と高めに思えるのは、快適性重視のミニバンらしいというべきか。
●日産セレナ(257万6200~392万7000円)/車両価格比:約6~10%
・日産オリジナルナビゲーション:12万864円~35万6343円(取り付けパッケージは2万7500円)
■スバル
特定の車種に特化した専用オプションは用意されておらず、各モデルにリアビューカメラやETC2.0などとセットオプションとした「ナビパック」を用意している。
ナビ/オーディオの主要メーカーの製品との組み合わせだから、社外ナビと機能に大差はないように思える。専用機能の設定やディーラーでの取り付けの精度などに価値を見出すかどうかだろう。
●スバル ナビ&オーディオ(インプレッサ:200万2000~270万6000円)/車両価格比:約8~10%
・ケンウッド彩速ナビ:16万2514円~
・パナソニックビルトインナビ:25万7884円
■ダイハツ
軽自動車の場合、コストも含めて専用仕様は設定されていない。購入コストとして車両価格の約1割に達する価格を考えれば、純正ナビにこだわる必然性はないかもしれない。
●ダイハツナビ(タント/同カスタム:124万3000~190万8500円)/車両価格比:約10%
・メモリーナビ:13万2000円~20万1300円
スマホとの機能連携を模索する純正ナビ
これまでトヨタ、日産、ホンダの3社はそれぞれ「T-Connect」(トヨタ)、「カーウイングス」(日産)、「インターナビ」(ホンダ)という従来の通信サービスを展開してきた。
最近ではスマホの機能と組み合わせた新たな通信機能を採用し始めており、この流れに合わせて、ナビ/オーディオの専用化という新たなトレンドが生まれ始めている。
既存のAV一体型カーナビゲーションからナビ機能を省き、代わりの昨今人気の「スマホナビ」アプリに代用させるという車載器、ディスプレイオーディオである。
ディスプレイオーディオの設定として、スマホ用アプリのiPhone用「CarPlay」とAndroid用「Android Auto」を標準化して、認知度を高めるべく努力しているようだ。
トヨタはカローラから全グレードでディスプレイオーディオを標準装備として、これにナビキットを装着する形式をとる。スマートフォンとの接続のため連携機能として、メーカーや車種によって機能制限を受けず、常に最新の機能を使いこなせるスマートデバイスリンクを用意。
各メーカーでは仕様設定が拡大しつつある「Apple CarPlay」と「android auto」のオプション設定を、2020年4月から順次標準装備へと設定変更している。
ディスプレイオーディオのユーザーメリットとしては、初期価格が抑えられていることが挙げられる。
その一方で、デメリットとしては、使用頻度にもよるが基本ナビなどのアプリを使う際の通信費(パケット代)は自分持ちになる。
※参考:トヨタT-Conectの基本利用料と通信接続について
また、ナビの自車位置精度はスマホ任せなので、GPSやセンサー類の性能もスマホの能力差が出ること。特にトンネル内ではGPSの電波が遮断されるので自車位置表示が停まったままになるケースが多いことが挙げられる。
すでに販売済みのディスプレイオーディオ装着車についても、「T-Connect」の通信機能(契約が必要)によるバージョンアップを通じて、2020年6月中旬以降、順次機能を付与していくとしている。
●トヨタヤリス(139万5000~249万3000円)/車両価格比:約5~8%
・エントリーナビキット:6万6000円
・T-Connect対応ナビ:11万円
・ディスプレイオーディオ(8インチディスプレイ):1万1000円(Xグレード以外は標準装備)
一方、デザイン重視のマツダは新世代モデルを中心に、標準設定の「マツダコネクト」を展開している。
センターモニターに対応しているので利便性は確保していても、トヨタのディスプレイオーディオと同様に、モニターの見た目や使い勝手の面で選択の余地がないことに不自由さを感じるかどうかが、評価のカギとなるはずだ。
純正ナビの価格の高さに理由あり
ではなぜ純正ナビは高く思えるのだろうか? たとえば、室内の装備品では直射日光(紫外線の影響があるため、UVカットガラスは乗員だけでなく、装備品の耐久性向上にも効果がある)や寒暖差などは家電の耐久性とは求められる耐久性のレベルが違う。
加えて、ナビに関しては取り付け精度や機能の拡張性の容易さでは純正品が社外品を上回ることは間違いない。
それを証明するのは、自動車の装着品として、メーカーの保証期間がいわゆる「一般保証」の対象として、エアコンなどと同様に基本的に3年の保証が付くことだ。
最近はSDカード対応の社外ナビも増えてきているが、ハードディスクナビでは1年程度の保証では少々心許ない。
機能面でも純正品としてバックカメラやステアリングに付随するオーディオ用スイッチと連動する場合があるので、3年の一般保障を考えても、純正品を選ぶ価値はありそうだ。
社外ナビの売れ筋商品は安いか高いか?
現在の社外ナビの価格は、以前のトップモデルが30万円以上にも達していた頃から比べれば、量販機種でも最高価格は20万円程度にまで落ち着いていることからも、価格と性能の競争が進んでいることがうかがえる。
提示した価格はオープンながら、インターネットサイトなどの調べでの販売上位モデルをピックアップしたものであくまで参考値としたい。
■パイオニア
老舗と言える同社の製品には「楽ナビ」「サイバーナビ」の2つのラインがあって、5万円程度から20万円を超える製品が幅広くラインナップされている。
・楽ナビRZ(7インチ):4万~8万円、RL(8インチ):9万前後、RQ(9インチ):12万円前後
・サイバーナビCL (8インチ):約10万円、CE(10インチ):15万~20万円
●パナソニック
「ストラーダ」は日産に純正ナビとして採用されているように、人気は根強い。ポータナブルナビの先駆け製品の1つである「ゴリラ」は、5インチモニターの2万円前後を基本に7インチの4万円ほどで手軽に手に入ることが強みだ。
・ストラーダREシリーズ(7インチ):5万~7万円
・F1Xシリーズ(9インチ):9万~15万円
●ケンウッド
社外ナビの3強の一角を占めるケンウッドの製品の売れ筋は7インチモデルが占める。価格はそのためもあって割安感がある。
・彩速ナビ:S706/707(7インチ):5万~6万円、M906(7~9インチ):6万~12万円
ポータブルナビやスマホナビで充分か?
それでは最後に、純正ナビと比較して、ポータブルナビやスマホナビを選んだほうがよいという理由はあるのだろうか。
なにしろ価格差は5万~10万円を軽く超えるのだから(純正ナビのほうが高い)、純正ナビとスマホナビでは、それなりに大きい性能差があって当然だ。
ダッシュボードなどへの取り付けの面倒さはそれほどではなく(ホルダーを設置する程度か)、スマホでいえば普段から操作に馴染んでいるのだから、どちらも画面の小ささで不利ではあっても、使い勝手の上での手軽さの点では、純正ナビは車載ナビにおよばない。
対して、ナビの機能の基本機能である位置情報の入手方法などでは、GPS(場合によってはジャイロとの組み合わせ)がほとんどのポータブルナビやスマホナビが、精度の点で車載ナビに劣ることは否めない。
ポータブルナビでもVICSなどに対応しようとすれば、購入価格が上昇してしまう。
そうした高額な純正ナビに、切り込んできたのがディスプレイオーディオである。「CarPlay」、「Android Auto」というスマホのアプリを使って、そのアプリの能力次第で向上するという、これからの時代に対応させたものだ。
このディスプレイオーディオにスマホナビを接続する方法は、欧州や北米をはじめ世界各地ではごく一般的な利用方法。
実は、世界的には高級車を除いて車載カーナビはあまり装着していないのだ。ついにその波が、車載カーナビが世界一普及していると言われる日本にも押し寄せてきたといえる。
さらに、メーカーや車種によって機能制限を受けず、常に最新の機能を使いこなせるスマートデバイスリンク対応の車種も増えていくだろう。
最終的にはコストを含めた手軽さと機能の豊富さと、信頼性を天秤にかけて、どれを選ぶかという話で、肝心なのは使う側として、機能の点でナビに何を求めるか、何がいらないかを取捨選択することになり、使用頻度など使い方によってカギとなる要素は結構大きく変わってくるので、吟味して選びたい。
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April 24, 2020 at 07:00AM
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