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Monday, March 2, 2020

なぜ今フルサイズ一眼「レフ」を使っているのかと、改めて問われたならば - ギズモード・ジャパン

対話のためのカメラを求めて。

さよなら、プロっぽいカメラ:僕らはカメラをこう選ぶ」というテーマで、カメラ特集が始まりました。これがギズモード・ジャパンにとってのCP+(偽)というか、発散予定だったカメラ欲の吐き出し場所というか。っていうか、ほんとにパシフィコまで横浜まで行ったのね…。

ところで、僕はここぞというときの撮影には「PENTAX K-1 Mark II」を持ち出しています。すると、編集部の山本さんにこう聞かれました。「今更ミラーレスじゃなくてレフ機を使うのはどうしてなんですか?」と。ほう、ほーーう。

デジタルカメラがデジタルである以上、テクノロジーの進化に付随して多機能化してゆくのは当然です。でも、機能面以外での進化はどうでしょう。そして、機能面以外にカメラに求めるものとは何ぞや?

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Photo: ヤマダユウス型
K-1 Mark II+XR RIKENON 50mm/f2 L

これは、Kマウントとともに歩くことを(今のところは)決意した男の苦悩と葛藤、あるいは、人生においての趣味的カメラとは何かを自問した、その写真機哲学論考である──。

デジタルカメラ三頭政治時代

ガジェット全般もそうですけど、昨今のデジカメの進化ペース、どう思います? 数年前は画素数競争で、やれ2400万画素3600万画素と、ピクセルの量≒カメラのポテンシャル、なんて時期もあったように思います。それからは暗所耐性連射性動画性能とか、画素数以外の研鑽が始まりました。

ことほどさように、デジタルカメラというのはスペックを引き上げていくガジェットとしての側面が強く出ています。ですが、それほどの高機能を多くの人は求めているのか? ハイレゾの高音域を、あるいは8Kテレビの美しさを自分は理解できているのか? スペックを追うことに疲れてないか?

そこで僕が最近(Since 2019)各所で唱えているのが、こちらの概念図です。

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デジカメは、いま3種類に分けられるッ!

最先端の機能を有してその万能感が商品価値となる家電的カメラ、光学機器としての信頼性を重視した光学的カメラ、カメラと人の交わりを改めてデザインした体験的カメラ

明確にどれがどれとか書くとゴニョっとしそうですが、α7IIILUMIX S1は家電的カメラ、EOS-1D X Mark IIIK-1 MarkIID780は光学的カメラ、SIGMA fpX-Pro3Leicaは体験的カメラ、かなーという印象。まぁ全部欲しいんですけどね結局は(暴論)。

でも、何かを買おうとしたときに自分がどんな機能を求めているか、その要件定義を明確化していくうち「この機能はいらないかな」となるのが人間ってやつじゃないですか。カメラでいうなら、機能性よりもデザインを重視したい、とにかく動体撮影に強いモデルが欲しい、旅行に持ち運べるサイズが良い…などなど。

そうしたニーズを細分化していくと、ハイスペックはマストではない。画素数よりもコンパクトさやデザインを重視してカメラを選んでも、十分満足することはあるでしょう。なんなら、ローファイもひとつのスタイルです。見方を変えればコンパクトもハイスペックであり機能ともいえるのですが。

かくして自身の欲望や要件定義をすり合わせた結果、僕は光学的な美しさと楽しさをもった「K-1 MarkII」を選んだ次第です。ここまで書いても、担当編集の山本さんはこう思うでしょう。「光学的な良さってなんなんすか?」と。まぁ続きを聞きなさいな、読みなさいな。

見たいのは映像じゃなくて、そこにある風景なんだ

ミラーレスとレフ機の違いは、レンズを通してセンサーが捉えた光景を電子ファインダー(EVF)に表示するのがミラーレス、ペンタミラーやペンタプリズムを通してありのままファインダー(OVF)に写すのがレフ機。おなじみのお話です。

では、どうしてX-T4に大興奮した僕がトレンドのミラーレスではなくフルサイズのレフ機を愛しているのか。理由は、この一言に集約できます。

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Photo: ヤマダユウス型

モニターを見たいんじゃない、景色を見たいんだ。

スマホやPCなど、日頃から発光体を目にすることの多い現代です。趣味で楽しむカメラを使う時くらいは、モニターではなくありのままの風景を見たい。それはレンズを通した被写体とのコミュニケーションでもあり、光を介して被写体、すなわち自然と自分に繋がりを感じられ体験です。フルサイズなのは、やっぱり階調じゃん、写真って。

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Photo: ヤマダユウス型
K-1 Mark II+FA43mmF1.9 Limited

まぁなんといいますか、OVFは被写体と同じ空間にいることを強く実感できるんですよ。一方でEVFはどうしても1枚スクリーンを挟んだ感覚になる。実際のコンサート会場にいるのか、モニター越しに見ているかの差というか。ブラックアウトを気にするような撮影もあまりしないので、僕の場合はありのままの光景を見るためにレフ機を使ってるといえます。あとはメカいものを使っている満足感とか、光学的なアイテムに触れている楽しさとか。

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Image: Mila Drumeva/Shutterstock.com

そう、それだ。実験用プリズムとか双眼鏡とか虫眼鏡とか、光学的なおもちゃに憧れたことありません? レフ機のもつ魅力って、それに近い気がします。ミラーレスの場合は撮像素子で光が途切れるけど、レフ機はそのまま目に飛び込んで来ますから。自分の手で光をコントロールしている全能感を、しっかりと確認できるのですよ。それがたまらない。

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Photo: ヤマダユウス型
K-1 Mark II+HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

僕は光学系の一端に触れていたいがために、要は光をちゃんと光として見たいがためにレフ機を選びました。まぁでも、取材現場の撮影ではミラーレスのほうがすこぶる便利ですね。ライブビューでバシバシ撮れるし、コンパクトだし、顔認識あるし。OVFでありながら顔認識を積んできたEOS 90Dには感動したもんです。

想定のズレが生み出す「主観的に良い写真」

では「OVFなら良い写真が撮れるのか?」と問われたら、イエスでありノーです。これ、突き詰めると「良い写真とは何か」論に発展するやつですけど、OVFは「良い写真」ではなく「良いなぁと思える写真」には、少なからず関係あるかな、と。EVFと違い結果が見えないので、露出を参考に仕上がりを想像しないといけない。そうした想像も楽しいし、意外な絵が出てくることもある。

カメラを構えてるときは被写体やシャッターチャンスに集中し、仕上がりはあとで確認すれば良い。「おお、こんな絵撮れてたのか」と、想定とのズレにフレッシュさを感じることもあれば、反省するときもあるもんです。こうして撮影された「良いなぁと思える写真」はなんとも主観的な良さですが、客観的にも「良い写真」を求めるなら、ドラマチックな被写体や需要に応える表現にシフトするほうが賢明でしょう。これもアートとコマーシャルで変わってくるところですし、アマチュアのなんとお気楽なことか…。

あとですね、「良い写真」といえばSNSですよ、映えですよ。オーバーいっさい無しのHDRやらパッキパキのティール&オレンジやらオフショット感のある高感度ブレ絵やら、人工甘味料のごときわかりやすい視覚刺激に脊髄反射でGood!してしまうのは仕方ないにしても、それがその絵に必要かどうかは理性的に判断したいものでして。手法はあくまで手法ですし、活用すればブランド向上にもなりえますから。だからこう、情緒を大事にですね(1年前も同じこと言ってない?)。

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K-1 Mark II+HD PENTAX-D FA 70-210mmF4ED SDM WR

ちょっと熱弁早口マンになってしまったので、リスの寝顔を見て落ち着きましょうか。おーっとこのレンズは発売されたばかりの「HD PENTAX-D FA 70-210mmF4ED SDM WR」じゃあないか。5段分のボディ内手ブレを内蔵したK-1 MarkIIなら、近距離での高倍率撮影も安心だぁね! なんて自然なKマウント草の根活動なんだ。

スマホじゃできないことをしなきゃなって

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Image: Sony US
先日発表された「Xperia 1 II」。ZEISS(ツァイス)のレンズを搭載する

ひるがえって、スマホカメラ。あちらの界隈もエライことになってきてます。Leica(ライカ)やZEISS(ツァイス)のレンズを積んで、1億画素とか叩き出してきて、しかもアプリやらコンピューティングフォトやらで最適解に美しい写真が誰でも撮れちゃう。文字にしてみるとスゴすぎて嘘っぽいレベル。

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Photo: ヤマダユウス型
iPhone 8 Plus+ShiftCam 2.0広角レンズ+Snapseed加工

そんな美麗写真がスマホで撮れちゃうご時世、カメラにはスマホじゃできないとこを求めたいわけですよ。画素数や絵作り、なんならボケまでもがスマホで実現できるようになってきた。いま、カメラでしかできないことってなんだろう?

僕はそこに光学的な魅力を見出しました。しかし、Leicaのように写真機での体験すべてを愛おしいものにするのも、カメラでしかできないことだと思います。あるいはコンパクトな125倍光学ズームや、愛猫のあくびの瞬間を捉える究極のAFといった、家電的に優秀で便利なカメラ。

スマホに勝る分野はまだ残ってますが、すべてを実現する一台は理想的な黒と同じく存在しないため、選択せねばなりません。選択するなら、向き合わなければなりません。己の欲するところは何ぞやと、そのカメラが欲しい理由は何ぞやと。

テックへのカウンター、体験回帰。その次は─

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Photo: ヤマダユウス型
K-1 Mark II+smc PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8 WR

思えば、ギズモードに関わる人はLeicaやGR3といった体験的カメラユーザーが多い気がします(他のカメラも持ってるけど)。それはガジェットが好きで仕事でも関わっているからこそ、スペックで説き伏せて来ないモノを求めているのではないか、と。いわば、引き算のカメラを求める心がある。

いまは世の中がそうした時流かもしれないし、サウナやキャンプなどのデジタル・デトックスムーブメントはスペック疲れと無関係とは言えないはず。ああ、だがしかし、もはやテックは偏在している。ゆえに僕らはテックらしくないテックを探す。機能的でありながら機能以外の魅力をもつカメラを探す。どんとこい、矛盾現象。

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Photo: ヤマダユウス型

…と言いつつも、数ある一眼レフカメラの中から僕がK-1 Mark IIを選んだ理由は、やっぱり機能の面白さです。GPS内蔵によるアストロレーサーや、他メーカーにはない変態チルト、オールドレンズとの互換など。K-70を使ってたこともあって、Kマウント続投を決めました。シグマがKマウントへの供給を停止したときは乗り換えるべきか悩みましたが、スペックを見て不安になっても使っていて楽しいなら問題なし。なんなら動体撮影が必要なときはまたカメラを買えばいいのだ。購入のスキを逃すな!

最後は、特集タイトルへのアンサーでシメるとしましょうか。さよなら、プロっぽいカメラ。こんにちは、あなたらしいカメラ。最高のカメラとは、愛せるカメラですから。……今のところは、だけども。

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March 02, 2020 at 05:00PM
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