瀬戸市上松山町の市民公園で四十年以上展示・保存され、鉄道ファンらに親しまれてきた「瀬戸電」の二車両の老朽化が進み、解体が決まった。最後に写真を撮ったり触れたりできる「おわかれ出発式〜展示車両に触れよう〜」が十日、始まった。十二日まで、午前十時〜午後二時。 (西川侑里)
車両は淡い緑色の電動客車「モ766」(一九二七〜七八年走行)と、瀬戸焼などを全国各地に出荷する貨物車として尾張瀬戸から大曽根間を毎日七往復以上運行した黒色の電気機関車「デキ202」(同)。
初日の午前中には、冷たい雨が降る中で県内外から約四十人が駆けつけた。別れを惜しむように車体やつり革、座席にじっくりと時間をかけて触れ、写真撮影を楽しんだ。中には定規や分度器で各車両部品の寸法を測り、「模型を作る」という男性の姿も。
初公開された「モ766」の車内で、瀬戸市出身で常滑市の製造業若園義之さん(36)は「小学生の頃から親と来て眺めていた。中に入れるという情報がツイッターで拡散されて、仕事どころではなくなってしまった。細部の作りは精巧で存在感がありますね。小さい頃乗った電車に似ていてにおいが懐かしい」と目を細めた。
瀬戸市内の会社員加藤聖司さん(47)は「市民の足として黙々と走る瀬戸電に今も昔も心ひかれる。今とは違う木の温かみがあるこの車両は、ここにあって当たり前だったから、なくなるのは寂しいね」と切なげに話した。
二車両とも引退翌年の七九年から同所にやってきたが、近年は塗装がはがれてさびが目立つなど老朽化が進んだ。維持管理が難しくなり、二〇二〇年秋ごろに解体が決まった。市建設課の山田司主事(64)は「走っていた当時を知っている人も少なくなり、一つの役目を終えたと思う。多くの人に愛された瀬戸電。撤去を知らせたかった」と開催の趣旨を話した。
解体時期は未定。部品の保存や譲渡ができるか検討しているという。
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