コロナ禍の中で開かれた東京五輪は、感染対策で無観客となり、国内外からの大規模な集客を前提としたイベントのあり方に一石を投じた。今回の経験を3年半余り後に控える大阪・関西万博にどう生かしていくべきなのか。日本総合研究所マクロ経済研究センターの石川智久所長(46)に語ってもらった。
――今回の五輪は何を残したと考えますか。
「イベントの力を再認識できました。反対派も多かったですが、開会式の視聴率は6割近く。開会式では約1800台のドローンが地球儀などを描き、いまも新技術で感動を生み出せることを証明しました。競技を通じて日本の若者の頑張りも示せました。『終わったコンテンツ』だと言う人もいますが、決してそうではありません。今でも普遍的なメッセージを残せるというのが正直な感想です」
「トータルでは開催してよかったと思いますが、SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みがきちんと実現できなかったのは課題です。女性蔑視発言などが明らかになり、多様性や調和(ダイバーシティー&インクルージョン)に本気でないのではと感じました。差別のない世の中をつくりたいのかどうかが見えませんでした。多くの弁当も廃棄されました。反省しないといけません」
――コロナ時代のイベント開催にどんな影響をもたらしましたか。
「イベントの適正サイズを考えるきっかけになりました。イベントは放っておくとどんどん大型化しますが、大きければよいのかという問題があります。例えばコロナ後にパンデミックが再び起きた時、海外の客に来てほしくても、国内中心にパッと切り替え、海外はオンラインで楽しんでもらう。不測に備える『コンティンジェンシープラン(危機対応計画)』が大事です。バーチャルで味わうことで、リアルでも見に行きたいと思ってもらえる仕掛けも必要です」
東京五輪の後に日本で控える大型イベントが、2025年の大阪・関西万博です。SDGsや経済効果を掲げるなか、五輪の教訓を踏まえてどう臨むべきなのか。石川さんの考え方を聞きました。
――今回の経験を万博にどう生かすべきですか。
「万博はSDGsの祭典とし…
からの記事と詳細 ( 大型化するイベント、「適正サイズを」 石川智久さん - 朝日新聞デジタル )
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