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Sunday, October 11, 2020

「大阪都」構想、東京23区との違いは?…人口規模で区割り・保育所の認可OK - 読売新聞

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 「大阪都構想」の賛否を問う住民投票(11月1日投開票)は12日に告示される。日本の大都市制度の議論に一石を投じる都構想は、その名の通り、東京都と23区(特別区)の関係をモデルにするが、異なる点も多い。そもそも東京都はどんな自治制度で、「大阪都」は何が違うのか。(羽尻拓史)

 東京都は戦時中の1943年、首都機能強化のため、「東京府」と「東京市」を廃止して誕生した。当時は35区あり、独立した自治体ではなく、都の内部組織にすぎなかった。

 47年に地方自治法で「特別区」として一般市と同じ自治体に位置づけられ、23区に再編されたが、52年には、都が戦災復興をよりスムーズに進める狙いなどから区長公選制が廃止され、都の内部組織に戻った。

 その後、特別区側は自治権の拡充を訴え続け、75年に区長公選制が復活し、2000年の改正地方自治法で、再び自治体としての地位を獲得した経緯がある。

 「大阪都」は、こうした東京都と23区の「最新の関係」をモデルに、さらに大阪独自の修正を加えた。大阪府の吉村洋文知事が「東京の都区制度をバージョンアップしたのが大阪」と胸を張るゆえんで、根拠の一つは特別区の権限にある。

 大まかにいうと、自治体の権限は、町村や一般市から、中核市(人口20万人以上、現在60市)、政令市(50万人以上、20市)へと規模が大きくなると増す。

 東京23区が持つのは一般市並みの権限だが、政令市の大阪市を解体して誕生する「淀川」「北」「中央」「天王寺」の4区は、中核市と同等で、保育所の設置認可などができる。

 一方、特別区は固定資産税の徴収権など、村でも持っている権限を持たないため、「半人前の自治体」との批判もつきまとう。

 特別区の人口規模を均一化したのも東京との違いだ。

 東京23区の人口は、千代田区(約7万人)から世田谷区(約92万人)まで13倍以上の差があり、人口1人あたりの歳入も、千代田区(61万円)と世田谷区(20万円)で41万円の幅がある。この結果、子どもの医療費助成だと、財政の豊かな千代田区は高校3年までを対象とし、中学3年までが対象のほかの区に比べて、拡充ぶりが際立つ。

 大阪の4区は住民サービスの水準に大きな違いが出ないよう、人口や財政規模が均等になるよう区割りされた。人口は約60万~75万人で差は1・25倍、1人あたりの歳入も22万~26万円と東京に比べて差は少ない。

 区間の「貧富の差」を軽減するため、東京には、都と区の間で財政調整をする仕組みがあり、「大阪都」も取り入れる。

 具体的には、大阪市が持つ固定資産税や法人市民税の徴収権が府に移り、そこで集まったお金の一定割合を分配する。分配割合は東京の場合、都45%、23区55%だが、大阪は府21%、4区79%とする。

 東京に比べ、府に流れる割合は少ないが、9~10月に大阪市が開いた住民説明会では、出席者から「市民の税金が市外に使われるのでは」との質問が続出。元々、市のために使われていた税金を府に持っていかれることに抵抗感を抱く市民は多いようだ。こうした点に配慮し、府が吸い上げるお金は基本的に現在の大阪市内での事業に充てるよう会計管理し、使い道が明確にされていない東京より透明性を高めた。

 ただし、東京と大阪では財政事情が全く異なる。首都として人や企業が集中する東京都は、23区を含め、国から地方交付税をもらわなくても財政運営できる「不交付団体」だが、大阪府と大阪市は年間で計約5100億円(16年度)の交付税を受ける。

 裕福な東京と同じ財政調整の仕組みが、お金の少ない大阪の自治体同士でうまく機能するかは、識者の間でも評価が割れる。

 立命館大の森裕之教授(財政学)の話「財政の豊かな東京でも、税収の多い区には『自前でもっと使いたい』との不満がある。東京と比べ収入の少ない大阪市を特別区に分けると、税収の多い区と少ない区で争いが生まれるリスクがある」

 慶応大の土居丈朗教授(財政学)の話「特別区同士の争いは当然あるが、財源を分かち合い、全体で助け合うのが財政調整の仕組みだ。特別区で飛躍的に住民サービスが充実することはないが、地域のニーズに応じた行政は実現できる」

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