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Friday, September 11, 2020

ホンダ・モトコンポがシティのトランクに! サイズがピッタリすぎた理由。 - MotorFan[モーターファン]

  • 2020/09/12
  • MotorFan編集部 北 秀昭
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発売後は若者を中心に人気を獲得したコンパクトカー・シティ(写真左)。写真右は同時開発された超コンパクトな原付49ccバイク「モトコンポ」。

1981年(昭和56年)にホンダから発売された原付モデル、モトコンポは、1231ccのコンパクトカーであるシティの搭載用として同時開発された、まったく新しいカテゴリーのトランクバイク。超小型で軽量な車体(全長1185mm、乾燥重量42Kg)に、49ccで2.5馬力の2サイクルエンジンを搭載。燃料やオイル、バッテリーなどの液洩れ防止機構や、折りたたみ式ハンドルやステップなど、トランクバイクとして使い勝手を配慮した設計としているのが特徴だ。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

モトコンポは新感覚のコンパクトカー「シティ」に搭載するための、特殊なメカニズムを採用した超小型二輪モデル

ホンダ モトコンポ……1981年(昭和56年)発売 当時の新車価格……8万円

ホイール径はモンキーと同じ前後8インチ。いかに小径なのかが理解できる。
全長1185mm、乾燥重量42Kgの超コンパクトなボディが特徴。
カラーリングは「シティ」と同色を設定。
エンジンは空冷2サイクル49cc。パワーは2.5馬力。

モトコンポと同時開発・発売されたホンダ シティとは?

都会的な感覚を持つ、行動派の若者をターゲットにしたニューコンセプトカー、ホンダ シティ。写真はレッドカラー。
ホンダ シティは若者を中心に大ヒット。当時大ブームだった、“少林寺”やジャッキー・チェンなどの『カンフー映画』をイメージしたテレビCM(なぜか中国人ではなく、白人男性たちがカンフーの型を披露する演出)も話題となった。
イエローカラーのホンダ シティ。
シティは背の高さが室内の広さを生み出し、しかも空力性能にすぐれた設計が特徴。

 ホンダは1981年(昭和56年)、小さな占有面積で居住性に優れた、背の高いトールボーイデザインを採用するとともに、クラストップの燃費性能と動力性能を発揮する、新開発コンバックスエンジン搭載のFFニューコンセプトカー・シティ。また、シティの搭載用として同時開発を進めてきたトランクバイク「モトコンポ」を同時発売した。

 ホンダはシティとモトコンポの発売により、従来の「四輪+二輪=六輪ライフ」という、単に足し算的な範囲での使い勝手だけではなく、四輪に二輪を搭載して行動することにより、バイクの機能とクルマの機能が掛け算的に広がり、アウトドアライフの新しい使い勝手を創りだすことを提唱。これは二輪車&四輪車の両方を生産する、ホンダの強みをフルに発揮した、世界で初めてのユニークな試みだった。

 シティは、既成のクルマ概念にとらわれず、居住性や燃費、動力性能など、クルマの機能を最大に追求(機能最大)しながら、一方でこれらを生みだすエンジン、サスペンションなどの機構は最小(機能最大)に設計。都会的な感覚を持つ、行動派の若者をターゲットにした、ニューコンセプトカー。

 シティのボディは、新鮮なトールボーイデザインを採用、背の高さが室内の広さを生み出し、しかも空力性能にすぐれた設計が特徴。エンジンは軽量コンパクトな新開発の「コンバックスエンジン(※注)」を搭載。1231cc、67馬力の高出力と、このクラストップの低燃費を合わせて実現していた。

※注:コンバックス(COMBAX)エンジン……COMPACT(コンパクト) BLAZING(ブレイジング)-COMBUSTION(コンバッション) AXIOM(アクシアム)(高密度速炎燃焼原理)を略した造語。CVCC-IIエンジンを足掛りに高圧縮比化を図り、新ファンネル型燃焼室を採用した超ロングストローク(超スモールボア)で燃焼効率の高いニューコンセプトエンジン。

 また、新設計のリヤサスペンション機構を採用し、ラゲッジスペースの確保を図るなど、いたるところに機能の向上のための斬新なアイディアを採用。コンパクトなボディながら、広々とした使い勝手のよい居住空間を創造している。

 シティは、同社の「シビック」や「アコード」が、その時代にふさわしいクルマのひとつの基準を世界に示したように、これからの新しいクルマ社会に新たな基準を提案。

 シティのテレビCMは、当時大ブームだった、“少林寺”やジャッキー・チェンなどのカンフー映画をイメージした、アクティブな演出で話題となり、発売後も若者や女性を中心に大ヒット。また、若者を主人公にしたテレビドラマにも頻繁に登場するなど、多角的なメディア戦略にも成功。

 また、サーキットではシティのワンメイクレース(シティレース)も開催されるなど、日本の自動車カルチャーに新しい風を吹き込んだ。

シティには、モトコンポを搭載する時に利用できるアンカーナットを装備。専用ベルト(オプション)でしっかりと固定できる設計となっている。

モトコンポは全長1185mm、乾燥重量42Kgの超コンパクトなボディが特徴

車体左側(矢印)には、盗難防止用のワイヤーロックも標準装備。コンパクトな車体のモトコンポならではの計らいだった。
 これまでにない、新感覚のコンパクトカー・シティのリヤトランク部にスッポリと収まることをテーマに開発された原付49ccモデル「モトコンポ」は、空冷単気筒2ストロークエンジンに、クラッチ操作を省いた自動遠心式クラッチ(無段変速)を採用。

 全長1185mm、乾燥重量42Kg、前後8インチホイールの超コンパクトなボディに加え、小型車にも収納できるよう、ハンドルやステップなど、各部が折り畳み可能な設計になっているのがポイントだ。

 ボディサイドには、ステップを上方に跳ね上げて格納できるよう凹部の設置。

 ハンドルとシートは、車体内に格納することができ、収納後にカバーを閉めると、車体上面はフラットな状態になるのが特徴。

ハンドル、ステップ、シート等を収納したところ。
ハンドルはハンドル上部の固定ダイヤルを緩めると折り畳みOK。
シートは前端のレバーを引くとロックが解除され、格納可能となる。

 ガソリン、オイル、バッテリーは、クルマへの搭載時の安全性を考慮し、液体がこぼれないように設計済み。横倒しも可能な仕様になっている。

 また、クルマへの固定をスムーズにするため、固定用フックを車体の左右(合計4箇所)に装備。タイダウンベルトで確実に固定できるのがポイントだ。

固定用フックを車体の左右(矢印 / 合計4箇所)に装備。
月刊モト・チャンプより

発売時の人気はイマイチ。しかし絶版後に人気が急上昇!

長年、当時モノの箱入り&屋内保管されていた、今では超貴重な新車のモトコンポ(一般ユーザー所有)。月刊モト・チャンプより。
 ユニークなコンセプトと斬新な技術が投入されたモトコンポだが、残念ながら市場の反応はイマイチだった(一方、シティは爆発的にヒット)。

 しかし絶版後、モトコンポはその個性が徐々に受け入れられ、一部マニアを中心に人気が上昇(カスタムベースとしても人気を獲得した)。現在、程度の良いモデルは、“お宝モデル”として、驚くほどの高値で取り引きされている。

写真左右2台はモトコンポ。写真真中はホンダ ズーク。月刊モト・チャンプより。

ホンダ モトコンポ 主要諸元

型式 AB12
全長×全幅×全高(m) 1.185×0.535×0.910
車両重量(kg) 45
乾燥重量(kg) 42
燃費(km/L) 70.0(30km/h定地走行テスト値)
登坂能力(tanθ) 0.19(約11度)
最小回転半径(m) 1.3
エンジン型式及び排気量(cm3) AB12E空冷2サイクル・49
最高出力(馬力/回転数) 2.5/5,000
始動方式 キック
点火方式 CDI
潤滑油容量(L) 1.0
燃料タンク容量(L) 2.2
変速機形式 自動遠心クラッチ
タイヤサイズ 前/後 2.50-8 4PR/2.50-8 4PR
当時の発売価格 8万円

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