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Saturday, August 1, 2020

設計に不可欠な「幾何公差」、「サイズ公差」との違いを知ってる?|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 - ニュースイッチ Newswitch

サイズ公差と幾何公差の違いとは?

サイズ公差と幾何公差は何が違うのか?以下の5 つの違いがある。
  ① 公差で規制したい狙いの違い
  ② 測定方法の違い
  ③ 公差域(規格の幅)の違い
  ④ データムの有無
  ⑤ 国際的工業規格との関係

 今回はこのうちの①と②について解説する。

公差で規制したい狙いの違い

図1 はサイズ公差と幾何公差を併記した図面である。厚みの30±0.3 と、幅を示す90±0.3 の表記がサイズ公差で、30±0.3 を例に取れば、基準寸法30 に対してマイナス側に0.3(下の許容サイズ)、プラス側に0.3(上の許容サイズ)、すなわち長さが29.7~30.3 の範囲に入っていることを示す。つまり、『サイズ公差とは上と下の許容サイズの差であり、サイズ(この図例では長さ)を規制する』。

図1 サイズ公差と幾何公差を併記した図面
 一方、平行度公差、平面度公差と記してあるのが幾何公差の表記である。平行度を例に取ると、下の基準面(A)から、平行度公差を指示した上面までの高さを測定したときの最大・最小値の差が0.05 の範囲の中(公差域)に入っていること、すなわちA 基準で平行の程度が0.05 以内であることを表す。つまり、『幾何公差は公差域を指示して平行のような姿勢や平面のような形状を規制する』。
 以上のように設計者が公差で規制したい狙いが違うのである。

測定方法の違い

サイズ公差での測定方法の一例を図2 に示す。サイズ公差での測定は2 点測定が原則である。この図ではノギスを使用しており、その他の2 点測定用の測定機としては、マイクロメータがある。図2(a)は、板もの部品の高さを2 点で測定している図で、図2(b)は円筒部品の直径を測定している図である。

図2 サイズ公差での測定
 それでは、円筒部品の直径を測定する例から、この2 点測定の特徴を考えてみよう。図3(a)は直径10 mm の円筒の図面で、図3(b)は2 点測定で4 か所測定している図である。寸法測定では2 点測定を行って、各測定ポイントでの測定値が9.95~10.05 に入っていなければならない。
 この円筒形部品は中間で曲がっているが、2 点測定ではこの曲がりや変形は検出できない。このように、2 点測定では製造現場で測定が容易にできる反面、曲がりや変形などを検出できないデメリットがある。
図3 2点測定の例
 次に、図4では板金部品の高さを従来の寸法公差で指示しているが、サイズ形体ではないので、幾何公差で指示することになる。幾何公差で指示した図面が、図5であり、下面を基準面A とし、面の輪郭度で規制している。
図4 寸法公差指示の図面
図5 幾何公差指示の図面
 この段差を測定する場合、簡易的な方法では、部品を定盤上に置いて、左側を治具で固定し、ハイトゲージで段差を測定する。一般に幾何公差を測定する場合は、測定する部品をテーブルや定盤の上に設置し、固定して測定箇所に測定端子を充てる方法を採る。
 幾何公差の代表的な測定機として、接触式3 次元測定機(測定端子が部品に直接触れるタイプ)がある。その他の接触式測定機にはダイヤルゲージ、真円度測定機、形状測定機などがある。また、非接触測定機には、光学式・レーザー式それぞれの仕組みで、投影機や測定顕微鏡など数多くの測定機・装置が存在する。
(「設計者は図面で語れ!ケーススタディで理解する幾何公差入門」より一部抜粋)

<販売サイト>
Amazon
Rakutenブックス
Yahoo!ショッピング
日刊工業新聞ブックストア

<書籍紹介>
不要な幾何公差をなくすために、設計者は意図を明確にし、適切に幾何公差を使い、生産側(特に測定方法)の実態を知る必要がある。本書では図面を幾何公差化するための、公差設計の進め方を事例で紹介。測定方法は写真とともに解説する。

書名:設計者は図面で語れ!ケーススタディで理解する幾何公差入門 公差設計をきちんと行うための勘どころ
監修者名:栗山弘
著者名:栗山晃治・北沢喜一
判型:A5判
総頁数:196頁
税込み価格:2,640円

<関連イベントのお知らせ>
本書を含めた該当書籍のいずれかを、指定の方法でご購入いただいた方を対象に、オンライン講演会を開催いたします。
テーマ:公差設計と幾何公差(GD&T)による設計改革
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参加条件:指定の方法で、該当書籍のいずれかを新規で1冊ご購入いただいた方
申込方法:詳細についてはこちらでご確認ください https://www.planer.jp/online_seminar.html

<監修者>
栗山 弘(くりやま・ひろし)
株式会社プラーナー 会長
1976年、セイコーエプソン入社。24年間、開発・設計部門でウォッチや映像機器などの世界初商品の開発に従事。2000年に設計・技術研修センター部長に就任。同社在籍中およびそれ以降を含め約300件の特許を出願する。2001年にプラーナーを設立(社長)、2012年から会長。
高度ポリテクセンターや信州大学のほか、約100社の上場企業内で公差解析や設計教育で指導実績を持つ。企業にて約1,200テーマの実務課題解決を支援し、当該企業からその成果事例も多数発表されている。3次元設計能力検定協会理事なども務める。おもな著書に「3次元CADから学ぶ機械設計入門」(森北出版)、「公差設計入門」(日経BP)などがあるほか、「機械設計」(日刊工業新聞社)や「日経ものづくり」(日経BP)など技術雑誌への寄稿が多数ある。

<著者>
栗山 晃治(くりやま・こうじ)
株式会社プラーナー 代表取締役社長
3次元公差解析ソフトをベースとした大手電機・自動車メーカーへのソフトウェア立ち上げ・サポート支援、GD&T企業研修講師、公差設計に関する企業事例の米国での講演などにより実績を重ねる。3次元解析ソフトを使用したGD&T実践コンサルなど、さらなる新境地を開拓している。著書は「強いものづくりのための公差設計入門講座 今すぐ実践!公差設計」(工学研究社)、「3次元CADから学ぶ機械設計入門」(森北出版)、「3次元CADによる手巻きウインチの設計」(パワー社)、「機械設計2015年5月号 特集 グローバル時代に対応!事例でわかる公差設計の基礎知識」(日刊工業新聞社)など、多数。

北沢 喜一(きたざわ・きいち)
株式会社プラーナー シニアコンサルタント
セイコーエプソン株式会社にて、時計の外装設計・技術に長年携わり、開発設計における幅広い視野での知識と経験を持つ。その経験を活かし、2017年より株式会社プラーナー シニアコンサルタントとして、数多くの企業・公的機関にて公差設計、幾何公差の教育およびGD&T実践指導などを行う。

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