シャープの100%出資子会社でクウラドソリューションビジネスなどを展開するAIoTクラウドは、テレマティクスサービス「LINC Biz mobility(リンクビズモビリティ)」の提供を7月3日から開始する。
運送用トラックや営業車などの業務用車両を保有する企業、事業者を対象にサービスを提供。車両の運行情報などを可視化することで、効率的な運送業務の推進を支援できるという。
ネット通販の利用の広がりや、新型コロナウイルスの感染拡大による「おうち時間」の増加により、物流業界では小口配達が増加。その一方で、高齢化や人員不足などの課題に直面する中で、業務の効率化やドライバー業務の見える化などにも活用できるソリューションとして注目されそうだ。
AIoTクラウドは、中堅規模の物流会社を中心に、今後1年間で100社への導入を予定。GPSモジュールは5000台の出荷を目指す。
LINC Biz mobilityは、車両に搭載してデータ測位が可能な「GPSモジュール」、ソラコムのSORACOM Air forセルラーを活用した「LTE通信サービス」、シャープのデータセンターを通じて提供する「端末管理クラウドサービス」をワンパッケージで提供。同社が開発した車両管理ソリューションや温湿度管理ソリューションと組み合わせた提案も進めていく。
「GPSモジュール」は約119×59×20mm、約90gという小型軽量の筐体にGPSアンテナを内蔵したほか、LTE対応eSIMであるSORACOM IoT SIMを搭載。SIMカードの購入やセッティングが不要で、遠隔管理でLTE通信環境の開通、停止ができる。USB Type-AおよびType-C(給電専用)のほか、16ピン外部コネクターを標準搭載。ドライブレコーダーや荷室の温湿度センサーと接続したデータ収集も可能だ。また、6軸センサーや電圧センサーの搭載により、精度の高い車両の動態データの収集や、これらのデータをもとにした安全運転分析にも使用することができる。さらに、準天頂衛星システム「みちびき」に対応したGNSSにより、都市部のビル街を走行中でもリアルタイムで位置を測位できる。
AIoTクラウド クラウドソリューション事業部 ソリューション事業統括部長の音川英之氏は、「小型であることから、グローブボックスの近くなどにも邪魔にならずに設置できる。足下に設置しても、GPS機能には問題がないアンテナの感度がある。常に利用する業務車両では、バッテリーに直接接続する一方、シガーソケットに接続して利用することもできる」という。
GPSモジュールは、ネットワークに接続していることからソフトウェアのアップデートなどが可能であり、利用シーンに合わせて計測の設定を変えたり、閾値の変更をしたりといったことができる。端末ごとの回線利用状況の確認も可能だ。また、PythonのサブセットであるMicroPythonを利用して、端末管理クラウドからスクリプトを実行。システム全体の効率的な運用を行なうほか、スクリプトを更新した最適化も可能だ。よく使われる機能に関しては、AIoTクラウドからテンプレートのような形で機能を提供することも考えているという。
「LTEデータ通信サービス」は、SORACOM Air forセルラーおよび関連サービスを利用した高速通信サービス。SORACOM Beamを通じて、シャープが運営するデータセンターと接続。端末管理サービスやアプリケーションサービスを提供する。また、SORACOM BeamやSORACOM Funnelを通じて、AWSなどのパブリッククラウドサービスや、ユーザーが保有する既存システムとも接続できる。送信されたデータはサーバー上で一元管理。端末の機能制御やアップデートも、同通信サービスを利用して実行できる。シャープのデータセンターでは、ビジネスでの利用に耐えうる冗長性と可用性を確保しているという。
「端末管理クラウドサービス」は、シャープのデータセンターから提供するサービスで、GPSモジュールから配信される位置データや加速度データ、角速度データ、電圧データなどの計測データを収集。管理者はPCやタブレットを通じて専用サイトにアクセスして、ダッシュボードを通じた管理が可能だ。
さらに、AIoTクラウドではLINC Biz mobility向けオリジナルアプリケーションとして、「車両管理ソリューション」と「温湿度管理ソリューション」を提供する。
車両管理ソリューションでは、GPSモジュールから収集したデータをもとに、営業車両やサービス巡回車、小口配送車両などの位置をリアルタイムに管理。それをもとに、効率的な巡回や、目的地の近くにいるドライバーに集荷に向かわせるといった活用ができる。ここではスマホとの連携によって、ドイラバーのステータス(作業状況)の確認もできる。また、ドライブレコーダーとの連携による事故発生時の映像の遠隔取得、スピード超過や急ハンドルといった危険な運転データのログの取得、運転日報の自動作成による作業負荷の軽減、管理者の管理集計事務作業の削減なども可能になる。
「スマホとの連携によって車両位置のほか、出発、到着、作業(訪問)中、休憩中といったドライバーの状況をリアルタイムに画面上に表示。チャット機能により、ドライバーのスマホに効率的なルートの提案や作業指示なども行なえる。LINC Bizで提供するビジネスチャットやビデオ会議との連動利用も可能になる」としている。
温湿度管理ソリューションでは、GPSモジュールと荷室の温湿度センサーを接続し、温湿度データをクラウドに送信。管理者やドライバーが常時モニタリングできるようになる。センサーの活用で保冷ボックスごとの温湿度管理も可能になることから、高価な専用冷蔵車両を購入することなく、管理された環境での冷蔵輸送が可能になる。
LINC Biz mobility GPSモジュール端末の価格は3万円前後。サービス利用料は月額980円からとなる。「GPS端末の価格は、LTEや4Gを利用した他のサービスに比べて3割程度安い。また、ソラコムの仕組みを利用することで、通信コストも低減でき、低コストでの導入、運用が可能になる」としている。
AIoTクラウドによる販売のほか、今後は販売パートナーを通じた販売活動も展開。さらにソリューションパートナーと連携し、LINC Biz mobilityに対応したアプリケーション開発の支援なども行なう。
物流業界では、増加する小口配送サービスの需要に対応するため、ITを活用した業務効率化が求められている。それを実現するための第一歩として、車両やドライバーの状況をリアルタイムで把握し、見える化することが必須だ。これらの情報をもとに、配送計画やエリア配分の最適化が図れるほか、ドライバーの作業の平準化、顧客の迅速な対応が可能になり、走行データをもとにした安全運転指導なども行なうことができる。
だが、これらのデータを取得することができるテレマティクス対応車両が少ないのが実態だ。音川統括部長は、「事業用車両は国内に約1460万台あるが、そのうちテレマティクス対応の車両は、デジタルタコメーターの装備が義務付けられた車両を含めて100万台弱であり、1割に届いていないのが実態。とくに、軽トラックやライトバンなど小型車両への導入が遅れている」と指摘。
また、「デジタルタコメーターの端末価格は10~30万円であり、中小型車両には向かないこと、物流事業者の8割が中小事業者であることから、そこまでの投資ができない。さらに端末価格が3~4万円の3G通信によるGPS端末もあるが、2026年には3Gが完全停波を迎えることになり、置き換えが必要になっている。また、スマホのGPS機能を利用する方法もあるが、道路交通法の改正によりながら運転の厳罰化もあり、使用上、現実的ではない。データを収集するには、4GやLTEに対応した低コストで扱いやすいGPS端末が求められており、そこにビジネスチャンスがあると考えている」とする。
なお、AIoTクラウドでは、シャープの販売会社であるシャープマーケティングジャパンの営業車にLINC Biz mobilityを採用する計画だ。8月から大阪エリアの200台の営業車に搭載。順次、全国規模に拡大していくことになる。ここでの活用を通じて得た知見などを、製品やサービスの改良につなげる考えだ。
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July 03, 2020 at 09:00AM
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