スイス・コロンビア・ベネズエラ・ブラジルの合同研究チームが、約3メートルの甲羅を有するカメの化石を南米の2カ所で発掘しました。このカメの推定体重は1.25トン、オスは角を持っていたことが判明しています。
Fossils shed new light on car-sized turtle that once roamed South America | Science | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2020/feb/12/giant-turtle-fossil-south-america-stupendemys-geographicus
Extinct giant turtle had horned shell of up to three meters | EurekAlert! Science News
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-02/uoz-egt021120.php
2つの化石のうち、ベネズエラのUrumaco近郊で発掘されたものが以下。隣に寝転がっている人と比べると、その大きさは一目瞭然。
この化石を残したのは、新生代中新世から鮮新世にかけて生息していたStupendemys属のgeographicusという種。Stupendemys geographicusの化石は過去にも見つかっていましたが、今回発掘された個体の甲羅はほぼ3メートルに達しこれまでの記録を塗り替えた上に下顎までも残っていたことから、同種の研究に進展をもたらしてくれると考えられています。
今回発見された化石の大きさについて研究チームのエドウィン・カデナ氏は「この種の最大の個体は頭・首・甲羅・手足を含めるとセダン自動車と同等の大きさです」と説明。推定によると、全長は約4m、体重は1.25トンにもなるそうです。
Urumaco近郊で見つかった化石とコロンビアのタタコア砂漠で発見された化石のうち一方は甲羅の首近くに正面に向けられた頑丈な角がありましたが、もう一方には角がありませんでした。これについて研究チームは、現存するカメにはオスガメ同士で争う種がいることから、角のある化石はオスのもので、この角を使って敵対する相手を串刺しにしていた可能性があると述べています。
研究の結果、Stupendemys geographicusは魚・ワニ・ヘビなどの動物だけでなく、軟体動物・果物や種子なども食べていたとのこと。化石から得られた解剖学的な特徴は、湖や河川などの淡水域の底に生息していたことを示しているそうです。Stupendemys属はアマゾン川やオリノコ川などが形成されるより前のコロンビア・ベネズエラ・ブラジル・ペルーにまたがる巨大な湿地帯に生息していたと推測されています。
この巨大さにも関わらず、Stupendemys geographicusには天敵がいたことが示唆されています。発見された甲羅には噛み傷や穴、そして約5cmのワニの歯が埋め込まれており、同じ地域同じ時代に生息していた全長10mに達したと考えられている巨大ワニ・プルスサウルスがこの痕を残したのではないかと研究チームはみています。以下の画像は現存するプルスサウルスの頭部の化石。
by Via Tsuji
なお、白亜紀後期に生息していたとされるアーケロンは全長が約4メートル、体重が約2トンに達したとされており、Stupendemys geographicusよりも大きかったと考えられています。
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