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Friday, June 25, 2021

永遠の命を得た芳根京子「正解は誰にもわからない」…一度は断った難役「ひたすらアワアワ」 - 読売新聞

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 25日公開の「Arc アーク」は、“人類で初めて永遠の命を手にした女性”の物語。若さを保ったまま100年以上生き続けるヒロインという難役に挑んだ芳根京子は、「どう演じるのが“正解”なのか、誰にもわからない。思うままに演じられた」と語る。(文化部 山田恵美)

 原作は、中国系米国人の作家ケン・リュウのSF小説。テクノロジーによって老いや死を克服した近未来を、「愚行録」「蜜蜂と遠雷」の石川慶監督が、一部モノクロの流麗な映像で描き出した。

 産んだばかりの息子を病院に残して出奔したリナ(芳根)は、後に師となる 永真えま (寺島しのぶ)に出会い、遺体を生きているかのような姿で保存する特殊な技術を学ぶ。その方法論を応用して不老不死を実現した、永真の弟・ 天音あまね (岡田将生)と結婚。永真の反対を押し切り、未知なる人生を歩み出す。

 「どんな映画になるのか想像もつかなくてワクワクした」という。同時に、若い体のまま50歳、90歳……と年齢を重ねるリナの心情を表現するには、「お芝居の経験も人生経験も全然足りないなって」。一度は、役のオファーを断った。

 「芳根さんならできる。スタッフみんなで支える」と、石川監督に励まされ、飛び込もうと決めた。「100%の自信じゃなかったけど、できるかもしれないっていう気持ちが芽生えたんです。自信というより、希望かな」

 脚本からキーワードを拾い、リナの人物像を練り上げて撮影に臨んだ。だが、現場では、考えるよりも先に「心がずっとザワザワと動いていた」と振り返る。「どんな気持ちか、一言では言えないけど。湧き上がってくる感情に一切ブレーキをかけずに演じた」。人生の年輪を表情や言葉ににじませる、情感のこもった演技に目を奪われる。

 「身体性」を重要なテーマの一つと捉えた石川監督の意向で、原作にはない舞踊シーンが加えられた。ダンスは初めて。「『私の持っている力が試されてる!』って、すごく感じました」

 ゼーゼーと息が上がり、撮影がストップしたことも。「いつもは役として追いつめられるけど、素の『芳根京子』が追いこまれました。ひたすらアワアワしてたんじゃないでしょうか」。ちゃめっ気たっぷりに笑った。

 石川監督に芳根についてコメントを寄せてもらった。

 3年前、連続ドラマ「イノセント・デイズ」(WOWOW)で一緒に仕事をした時、1カットに全力を傾ける姿が強烈に印象に残りました。一緒に闘える人です。負けず嫌いで、撮影ではどんなに高いハードルも越えてくれた。リナとして出会う共演者の方々と呼応し、役の新たな「核」を形作る。場面ごとに変わるリナの顔を、驚きを持って見ていました。誰にでもできることではありません。生々しいほどの存在感でした。

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