6月中旬のちょうど今の時期、箱根町ではあじさいが開花の時期を迎える。 この時期の箱根登山鉄道は、開花し見頃を迎えたあじさいを車窓から見ることができ、“あじさい電車”の愛称で長年親しまれてきた。 【画像】「モハ2形109号」さまざまな姿
国内最古級車両の一つ、引退
その箱根登山鉄道で、一台の車両が3月21日にひっそりと引退を迎えていた。国内最古級の車両の一つ「モハ2形109号」(通称「109号」)だ。 鉄道ファンでなくとも、日本人なら誰しも一度は見聞きしたことがあるだろう、どこかノスタルジックな気分にもさせてくれるこの謎の文字と数字。 ひっそりと引退した車両の引退劇を映像で綴った。 箱根・彫刻の森駅で朝の点検を終えた109号は、強羅駅に向かってゆっくりと走り出した。 冷たい雨が降りしきる中、わざわざ足を運んでくれた鉄道ファンたちを乗せて、強羅駅と箱根湯本駅の間を何度も行き来し、午後3時32分に箱根湯本駅に到着、ラストランを終えた。 コロナ禍ということもあり盛大な引退セレモニーこそ行われなかったが、ホームにいた大勢の鉄道ファンたちに見送られながら、終の場所である車庫へと向かった。 現存する車両104号ー106号(100形型モハ1形、2形)と切り離され、検車区に静かに入庫した姿は、人生を全うした勇士のような風格があった。 109号の“最後の運転士”となった植原修さんは、ラストランの運転が決まった際には「運命的なものを感じた」という。 なぜなら箱根の大自然の中、赤い登山鉄道を運転してみたくて入社を決めた、という植原さんが運転士見習いの時、初めて運転したのがこの109号だったのだ。 入社以来21年間、この109号に関わってきたのだが、「93年間箱根登山鉄道の顔として多くのお客様とその思い出を乗せて箱根の山を走りぬいてくれた事に対し、お疲れ様でした、と言ってあげたい」と話してくれた。
「モハ2形109号」の歴史
日本有数の山岳鉄道として知られる箱根登山鉄道。 「天下の険」とうたわれる箱根の山の急勾配やスイッチバックを上り下りし、車窓から四季折々の景色を楽しむことが出来る。 中でも109号の歴史は古く、昭和・平成・令和と93年間、箱根の交通を支えてきた。 1927年に製造された木造車「チキ2形」の9号を改造し、1953年に「モハ2形109号」という呼び名になった。 当初は、主電動機(モーター)にはスイスメーカーの製品を使用していて、モハとは「モーターのついた普通車」のことを意味するのだという。 2019年には、箱根湯本駅と強羅駅の間の開業100周年を記念して、1935年~49年ごろの車体色を復刻した緑色の塗装が施されたが、10月に台風19号が直撃した影響で土砂崩れや倒木が発生し、運行が出来なくなり、約9カ月半の鉄道の修復工事によって、翌年の7月23日に全線で運転が再開した。 いろいろな人の思い出、人生そのものを運んできた車両。人間にも人生の終わりがあるように、機械にもいつか終わりが来る。廃車という道は避けられなかったのかもしれない。 ラストランが終わり、109号は、入生田の検車区で保管後、解体され、部品に関しては旧型車両の予備として活用される予定となっている。
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