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Friday, April 3, 2020

指先サイズの貼る「新型コロナウイルスワクチン」を研究者が開発、査読付き医学誌に掲載された新型コロナワクチンは世界初 - GIGAZINE


ピッツバーグ大学医学部とピッツバーグ大学医療センター(UPMC)の研究チームは、世界中でパンデミックを引き起こしている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のワクチンを開発したとの論文を、査読付き医学誌のEBioMedicineに発表しました。これまでにも新型コロナウイルスのワクチンは開発されており、臨床試験がスタートしたものもありますが、査読付きの医学誌に論文が掲載されたワクチンはこれが世界初となります。

Microneedle array delivered recombinant coronavirus vaccines: Immunogenicity and rapid translational development - PIIS2352-3964(20)30118-3.pdf
(PDFファイル)https://www.thelancet.com/pdfs/journals/ebiom/PIIS2352-3964(20)30118-3.pdf

COVID-19 vaccine candidate shows promise in first peer-reviewed research
https://medicalxpress.com/news/2020-04-covid-vaccine-candidate-peer-reviewed.html

Coronavirus vaccine: This new velcro-like patch could be a major step toward one
https://www.inverse.com/mind-body/coronavirus-vaccine-pitt


研究チームがワクチン開発に当たって注目したのが、新型コロナウイルスの表面に突出した「スパイクタンパク質」と呼ばれるタンパク質です。スパイクタンパク質はウイルスが細胞に侵入する上で重要な役割を果たしており、新型コロナウイルスと密接な関係にあるとされるSARSコロナウイルスMERSコロナウイルスにも同様のタンパク質が存在しているとのこと。

新型コロナウイルスのスパイクタンパク質は、ヒトの呼吸器系や消化器系の細胞に存在するACE2受容体と結合し、ヒトの体内に侵入して増殖します。研究チームはこのスパイクタンパク質を模倣したタンパク質を実験室内で作り出し、ワクチンとしてヒトの体内に送りこんで抗体を作らせる「Pittsburgh Coronavirus Vaccine(PittCoVacc)」というワクチンを開発しました。この手法は実際の新型コロナウイルスを用いないため、ワクチンを投与されたヒトが新型コロナウイルス感染症にかかるリスクも低いと、論文の共同上級著者であるAndrea Gambotto准教授は述べています。

なお、既に臨床試験がスタートしている「mRNA-1273」というワクチンは、人工的に生成されたメッセンジャーRNA(mRNA)を利用したワクチンであり、PittCoVaccとは基本的な仕組みが異なります。mRNAを用いたワクチンはスパイクタンパク質をヒトの体内で作成するように促しますが、PittCoVaccは直接タンパク質を送りこむため、より早く効果が出ると研究チームは考えています。

新型コロナウイルスワクチンの世界初のヒト臨床試験がスタート - GIGAZINE


研究チームはワクチンの効果を高めて迅速に抗体を作らせるため、薬物を伝達する方法に「マイクロニードル配列」というアプローチを使用しています。これは、指先サイズのパッチに400本もの「スパイクタンパク質を模倣した人工タンパク質と糖で作られたマイクロサイズの針」を並べ、皮膚にバンドエイドのように貼り付けるというもの。皮膚は免疫反応が強い部位であるため、ワクチンとなるタンパク質を含んだ針が皮膚に刺さって解けることで、効果的にワクチンを体内に送りこむことができるそうです。

UPMCの皮膚病科長を務めるLouis Falo氏は、「私たちはマイクロニードル配列のアプローチを、天然痘ワクチンの接種方法に基づき、より効率的で多くの患者にとって再現性の高いハイテクバージョンとして開発しました」とコメント。このアプローチで使われる針は、患者が痛みを感じないほど小さいとFalo氏は述べています。

また、他の多くのワクチンと違ってPittCoVaccは常温保存も可能だそうで、パンデミック時に必要となる大規模生産にも対応可能。ワクチンに使用するタンパク質は培養細胞を用いた「細胞工場」で大量生産可能な上、マイクロサイズの針もタンパク質と糖の混合物を遠心分離機を利用して型に流し込むことで生産できるとのこと。「多くのワクチンでは、スケーラビリティに取り組む必要はありません。しかし、パンデミックに対するワクチンを迅速に開発しようとする時、スケーラビリティは最初の要件となります」と、Gambotto氏は話しました。


実際に研究チームがマウスでPittCoVaccを試験したところ、ワクチンの接種から2週間以内にマウスの体内で抗体が急増したとのこと。まだ開発されてから間もないため、長期間マウスが追跡されたわけではありませんが、接種して1年間にわたり十分な量の抗体を産生し続けたMERSコロナウイルスのワクチンを受けたマウスと、抗体量の推移は同じ傾向をたどっていると研究チームは主張しています。

研究チームはPittCoVaccの臨床試験を行うための承認をアメリカ食品医薬品局(FDA)に申請中であり、今後数カ月間のうちに最初の臨床試験を始めることを期待しています。「このワクチンを迅速に開発できたのは、さまざまな分野の専門知識を持つ科学者たちが、共通の目標に向かって共に取り組んだからです」と、Falo氏は述べました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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