Pages

Monday, January 10, 2022

非電化区間も走れる電車の「蓄電池電車」、究極のエコ車両「燃料電池車両」とは - 鉄道コム

lohduri.blogspot.com

発想自体は戦前から、蓄電池車両の歴史

現在、非電化路線用の新世代車両として活躍する蓄電池車両の端緒となったのは、鉄道総合技術研究所(鉄道総研)が1999年に開発を始めた「架線と車載蓄電によるハイブリッド電源形電車」です。鉄道総研では、中古車両を改造して実証した後、路面電車型のLH02形「Hi-tram」を製作し、走行試験を実施しました。この車両は、電化区間での架線電力での走行、非電化区間での蓄電池電力での走行、架線からの充電と、現在の蓄電池電車の要素を全て備えており、その後の蓄電池電車の開発へと活かされています。

JR東日本では、2009年よりE995系「NE Train スマート電池くん」(キヤE991形の改造車)を用いて走行試験を開始。この結果を基に、営業用車両であるEV-E301系を、2014年に烏山線へ導入しました。2017年には増備車両が投入され、同年3月からは烏山線の全列車がEV-E301系による運行となっています。同線は現在も非電化路線ですが、列車番号の末尾は電車を表す「M」となっており、非電化路線ながら全て電車によって運行される路線となっています。

E995系「NE Train スマート電池くん」
E995系「NE Train スマート電池くん」

JR九州では、2016年10月にBEC819系を若松線(筑豊本線)に導入。2017年3月には同線の全列車を置き換えました。2019年3月には香椎線に投入されており、こちらも全列車がBEC819系での運行となっています。また、他系列の一般的な電車との連結運用も可能で、福北ゆたか線では、一般電車の817系と連結して運用に入る姿が見られます。

JR九州のBEC819系「DENCHA」
JR九州のBEC819系「DENCHA」

また、直流区間向けのEV-E301系を導入していたJR東日本では、交流区間向け車両として、BEC819系を基に寒冷地向けにカスタマイズしたEV-E801系「ACCUM」を、2017年3月に男鹿線へ投入。2021年には男鹿線の全列車が同形式による運用となりました。

男鹿線などを走るJR東日本のEV-E801系「ACCUM」
男鹿線などを走るJR東日本のEV-E801系「ACCUM」

試験用車両ではありますが、近畿車両は2012年、非電化路線用バッテリー電車「Smart BEST」を発表しました。充電は架線ではなく搭載したエンジンを用いるため、システム構成はハイブリッド式気動車と同様に見えます。しかしSmart BESTは、大容量蓄電池を搭載し、放電した分のみを従来型気動車より小型のエンジンにより効率よく充電するというコンセプトで、蓄電池が主、エンジンは補助(レンジエクステンダー)という位置付けです。Smart BESTのコンセプトを実用化した車両は現れてはいませんが、2014年1月にはこの車両を用いた臨時列車が鳴門線や徳島線で、同年9月には紀勢本線で運転されており、それぞれJR四国およびJR西日本では初めての、蓄電池式車両による営業運転の事例となっています。

JR西日本で運転された、SmartBESTによる快速「ハローキティ和歌山号」(kazu328さんの鉄道コム投稿写真)
JR西日本で運転された、SmartBESTによる快速「ハローキティ和歌山号」(kazu328さんの鉄道コム投稿写真)

また、常用ではなく非常用として、駆動用の蓄電池を搭載する車両も増えています。東京メトロでは、銀座線用の1000系に、非常走行用電源装置を搭載。万が一停電が発生した場合でも、変電所からの電力に頼らず、最寄り駅まで自走できるようになっています。東京メトロのほか、京王電鉄の5000系やJR東海のN700Sなどでも、同様の装置を搭載して非常時に備えています。

N700Sが搭載する非常走行用のバッテリー装置
N700Sが搭載する非常走行用のバッテリー装置

そんな新世代の車両システムに見える蓄電池電車ですが、蓄電池から電源を供給という発想は古くからあり、一部では戦前から使用されてきました。

日本国内においては、鉄道省(当時)が王子駅付近の貨物線用機関車として、1927年に蓄電池式機関車AB10形を製造しました。蓄電池式となった理由は所説ありますが、導入路線の近隣に陸軍の弾薬庫があり、蒸気機関車の運用は火の粉による引火の危険性があり、一方で架線の設置も困難だったから、とも言われています。同様の理由で蓄電池式機関車を使用する例は、工場内の専用鉄道などの危険性が高い場所では現在でも見られます。

AB10形の他にも、戦後の宮崎交通線や、新交通システム化前の西武山口線でも、蓄電池式車両が用いられていました。2021年現在でも、黒部峡谷鉄道の専用線区間、通称「上部軌道」で使用されるBB形など、専用鉄道などの特殊用途用車両として、各地に在籍しています。なお、これらの車両は蓄電池のみを動力源としており、EV-E301系などのように、パンタグラフを上げて電車のように走行することはできません。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 非電化区間も走れる電車の「蓄電池電車」、究極のエコ車両「燃料電池車両」とは - 鉄道コム )
https://ift.tt/3GbQFOl

No comments:

Post a Comment