自動車メンテナンス受託管理のナルネットコミュニケーションズは、自動車整備工場を対象としたアンケート調査を実施。先進運転支援システム搭載車両への対応は進んでいるものの、福祉車両の整備には対応できない工場が多い状況が明らかになった。
調査は同社が提携する自動車整備工場を対象とし、7月6日から10月31日にアンケート用紙を配布して実施。2494工場から得た有効回答をまとめた。
先進運転支援システム対応の特定整備認証制度、8割以上が取得・取得予定
自動車整備には「点検整備」「緊急整備」「分解整備」の3分野があり、このうち「分解整備」は2020年4月に「特定整備」へと名称が変更された。カメラやレーダーなどのセンサー類が備わるフロントガラスを交換・分解した場合、修理後に正常に作動するかどうかの確認が必須となる。これらの整備を「電子制御装置整備」として追加した新制度が特定整備。必要な事業場や人員、整備用スキャンツールなどの要件が定められている。特定整備認証制度は2024年4月までの経過措置期間が設けられているが、自動車整備業界は対応機器の設置を急ぐ必要がある。
今回の調査によると、47.6%が「取得済み」、33.8%が「取得予定」、15.9%が「未定」、2.7%が「取得しない」という結果となった。「取得済み」と「取得予定」を合わせると8割以上。業界における認証取得意識は高く、2022年に向けていっそう増えていくものと思われる。
また、特定整備認証取得済み工場に対応範囲(複数回答)を尋ねたところ、「バンパー・グリル」が最も高く78.0%、続いて「ドアミラー」が75.5%。以下、「カメラエーミング」(51.6%)、「フロントガラス」(35.9%)が続いた。自動運転時代に注目される「カメラエーミング」の自社対応は約半数。これから徐々に自社対応範囲が広がるのか、自動運転時代には作業の分業化が進むのかが注目される。いずれにしても今後は、近隣の工場同士の連携やネットワークが重要になりそうだ。
整備業界に必須のOBDスキャンツール、85%がすでに導入
OBDとは「On Board Diagnostics」の略で、「車載式故障診断装置」と呼ばれる。運転支援や自動運転装置の検査のほか、排ガス対策など従来からの項目についても、より正確かつ迅速な検査が可能。この装置を使った自動車検査をOBD車検といい、2021年10月からプレテストを開始。本格的な導入は2024年10月(輸入車は2025年10月)からとなっている。
今回、OBDスキャンツールの導入状況を調査したところ、85.3%が「導入済み」、11.1%が「導入予定」という結果となった。非常に高い導入率となっており、整備業界においては必要不可欠なツールとなっていることが分かる。
福祉車両架装部、58.7%が整備対応不可
福祉車両は高齢化社会の進展に際し、伸長すると見られる分野。「架装部」とは、車いす昇降装置をはじめとする高齢者や身体障害者に補助する装置部分を指し、従来のエンジン整備などに加えて、自動車整備業界の取り組みが期待されている。
この福祉車両架装部への整備対応状況を尋ねたところ、「整備可」は28.1%、「条件付き整備可」が13.1%、「整備不可」が58.7%。福祉車両架装部に対応できる整備工場は「条件付き整備可」を含めても、現状ではまだ過半数に満たない状況だ。「条件付き整備可」の条件には、「部品が入手可能なら」「簡易的なものに限る」「部位による」などが挙げられており、整備ノウハウの問題ばかりでなく、部品流通など商習慣的な問題が立ちはだかっていることが分かる。医療MaaSに対応するMTV(マルチタスク車両)など、福祉車両は今後さらに多様化、高度化していくと予想され、架装メーカーなどと垣根を超えた協力が望まれる。
7割がキャッシュレス決済に対応
電子決済が急速に浸透しつつあり、整備工場でも導入の必要性が高まっている。調査結果によると、クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済が可能と回答した工場は70.0%を占めた。そのうち、PayPayやauペイなどのQRコード・電子マネーの決済も可能とした工場も1割近くあった。精算方法の多様化への対応は整備工場でも進んでいるようだ。
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