東京を代表する通勤電車といえば山手線。ぐるぐる回る環状運転の山手線だ。
環状運転の開始は1925年だった。2025年に環状運転100年を迎える。その記念すべき年に電車の自動運転、無人運転が始まったらカッコいいと思うけれど、もうすこし時間がかかりそうだ。
自動運転の技術はほぼ完成しており、JR東日本は2018年の年末から2019年の年明けにかけて終電後に実験も実施した。かなり実用化に近づいたところだけれども、課題は「安全」と「安心」だ。
自動運転と「踏切廃止」の関係
「安全」に100%はない。しかし、機器の改良などで高められる。「安心」は文字通り「心」の問題で、心理的な不安を取り除く必要がある。山手線の不安の種は「踏切」だ。乗客で気づく人は少ないだろうけれど、山手線は1カ所だけ踏切がある。駒込駅と田端駅の間にある「第二中里踏切」だ。
もともと山手線が高い位置にあり、低い位置の山手貨物線をまたぐという地形になっている。山手貨物線は貨物列車のほか、湘南新宿ラインが走っている。道路は山手貨物線をまたぎ、山手線部分で踏切になっている。
地元の人々は「開かずの踏切」としてなんとかしてほしいと思っているはずだ。しかし、付近に建物が密集しており、線路側も道路側も立体交差工事を実施するための余地がない。したがって、山手線で唯一、改良計画に着手できなかった。
しかし、2016年に「踏切道改良促進法」が改正され、2017年に国土交通大臣によって「改良すべき踏切」に指定された。北区とJR東日本は、改良に着手して実施する義務がある。エレベーター付きの歩道橋を設置する案もあったという。クルマについては現状のままか、踏切を廃止して迂回してもらうか。
北区とJR東日本が様子見を続けた理由に迂回路の計画があった。東京都の都市計画道路で、踏切より200mほど田端寄りで山手線と山手貨物線の線路をまたぐ。ここが迂回路になるから、北区とJR東日本は踏切廃止で合意できる。都市計画道路は予算や優先順位で着手時期が決まる。東京都は、都市計画道路の線路をまたぐ部分だけ未着手だったけれども、2020年11月に着手を決定した。ただし完成までは10年かかるという。つまり完成は早くて2030年だ。この時点で第二中里踏切が廃止され、山手線の自動運転の環境が整う。
からの記事と詳細 ( まもなく環状運転100周年 山手線はなぜ新型車両を短期間で入れ替えるのか - 文春オンライン )
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