じつは車両火災の発生頻度は少なくない
今年の8月1日、福岡県の久留米市で駐車中のクルマから出火し、車内に残されていた二児のうち、1歳児が全身にやけどを負い重体になった事件があった。 【画像】車両火災の原因となるアイテムなどを見る(全11枚) 「車両火災なんて、昔のイタリア車じゃあるまいし、国産車ではかなりレアケースなのでは?」と思うかもしれないが、消防庁の令和元年版 消防白書を見ると、平成30年中の車両火災の出火件数は3660件。つまり全国で1日10件の車両火災が起きているということになる。
車両火災の原因は「排気管」が多い
ガソリンやバッテリーなど、大きな火災に直結するものを搭載している自動車は、火災がもっとも恐ろしいトラブルだ。難燃素材や不燃素材を多用しているにもかかわらず、車両火災の発生頻度は少なくなく、死者も70人もいたとのこと。(ただし車両火災の出火件数は前年比203件減、死者数は22人減と減少傾向) そうした車両火災の出火原因はなんだったのか。消防白書によると、排気管によるものが627件(全体の17.1%)ともっとも多く、次いで機関内配線が353件(同9.6%)、放火(放火の疑いを含む)が242件(同6.6%)もあった。 排気系では、ガソリンやオイルなどが漏れて、それがエキゾーストに垂れて出火するのが危ない。カムカバーのパッキンやオイルフィルターの取り付け部、カムシール、クランクシール、パワステホースなどからオイル漏れがないか、普段からきちんとメンテしておくことが肝心だ。こぼれたオイルをきちんと拭き取ることも忘れずに行いたい。 古いクルマは、インジェクター付近からのガソリン漏れなどにも要注意。またメンテナンスや点検の際に、工具やウエスをエンジンルームに置き忘れるのも車両火災の原因になる。
後付け配線も火災の原因になる
配線系は後付け配線がおもな原因。安易な後付け配線は非常に危険なので、後付け配線が必要な場合は、プロの電装屋さんに作業を依頼するようにしよう。 ライトをHID化したり、LED化したり、イカリングにするなど、社外品に変えたことが原因で車両火災が起きた例も報告されている。またインストルメントパネルやコンソール、ドアなどのスイッチ類を濡らしたり、ケミカルスプレーなどがかからないようにするのも重要だ。 また大雨のときに、冠水路に侵入してしまうのも電気系をショートさせる可能性がある。そのほかにも、吸盤、ライター、スプレー缶、ペットボトルなどから出火した例もあるので、こうしたものはクルマの中に置きっぱなしにしないようにしておきたい。 放火に関しては盗難いたずら対策と同じで、人感センサーライトや防犯カメラを設置したり、できるだけ人目につくところに駐車するのが基本。ボディカバーに火をつけられるケースがあることも覚えておこう。
藤田竜太
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