金沢市役所前などに設置 困惑するドライバーも
金沢市役所近くの交差点に「軽車両用」と記された信号機がある。「これってどういうこと?」。「Your Scoop〜みんなの取材班(ユースク)」の「友だち」から、そんな疑問が寄せられた。誤解されがちだが、「軽車両=軽乗用車」ではない。つまり、乗用車は従わなくてもいい。だが、現場では信号待ちするドライバーが後を絶たない。(小坂亮太)
十月下旬のある昼時。香林坊方面から直進してきた福井ナンバーの乗用車が広坂二の交差点で右折しようとし、目の前の赤色の軽車両用信号を見て止まった。左から直進車は来ていないが、動かない。後続車にクラクションを鳴らされ、慌ててアクセルを踏んだ。
道路交通法で軽車両は自転車や荷車、リヤカー、人力車などと定義される。馬車や牛車なども対象だが、最近、街で見かけることはまずない。乗用車やバイクは排気量六六〇cc以下であってもこれに含まれない。
「軽車両用」のため乗用車には関係なく、通常の交差点と同様に右折すればいいのだが、赤色に惑わされる人は少なくない。その割に石川県警への問い合わせは昨年十月に一件あった程度で、ほとんどない。
一方で自転車などの軽車両はこの信号に従う必要があるが、歩行者用信号を見て横断歩道を渡る人が大半だ。市役所前交差点にも軽車両用信号があり、同じような状況が見受けられる。
県警によると、県内に二千三百八十一カ所ある交差点のうち、同様の信号は三十八カ所で、全体のわずか1・6%。主に自転車横断帯を設けるスペースがない場合か、横断歩道自体がない場合に設置されている。
この信号機は、ないと都合が悪いのか−。県警交通規制課の伊藤悦隆次席は「自転車などの軽車両は本来、横断歩道でなくこの信号を使うのがルール」と強調。信号がなければ周囲の交通状況を見て渡るしかなく、危険度も増すと説明する。
市役所近くの二つの交差点では過去十年、自転車と車による事故は起きていない。軽車両用信号について、伊藤次席は「県内全体でどうするのが良いか、検討課題ではある。安全で快適な交通環境の整備に努めたい」と話している。
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