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Sunday, August 2, 2020

災害時初動対応に特化した特殊車両…三菱ふそう『ATHENA』 - レスポンス

三菱ふそうトラック・バスは7月30日に2つのトラックを発表した。1台は『eキャンター』(EV)をベースとした無人走行可能なコンセプトトラック、もう1台は、国士舘大学防災・救急救助総合研究所と共同開発した『ATHENA(アテナ)』だ。

災害時に活躍する特殊車両としては『サラマンダー』が有名だが、アテナは、災害発生時の初動対応・情報収集に特化した車両だ。TVドラマ『サンダーバード』でいえば、いち早く現場に駆け付け、状況認識とファーストエイドを行う「1号」のような存在といえばいいだろう。

ベースは市販されている「キャンター」で、エンジンは3リットルの4P10ディーゼルエンジン、4WD仕様のもの。4P10は150馬力430NmのT4タイプだ。総重量は5700kg、最大積載量は1900kg。中型免許で運転ができる。特殊装備の架装はパブコが行った。

災害現場はがれきやぬかるみなどが予想されるため、大型のオフロードタイヤ(37-12.5R/17.5R)が装着され、フロントにはスチール製のガードがせり出している。その下側にはアンダーガード風のパネルが斜めに取り付けられているが、縦に角度を変えればプラウとなり、流木などちょっとした障害物の排除にも使える。

キャビン正面のルーフライトとグリルのライトポッドは、作業灯として使えるが、燃料式の発電機を搭載しているので、バルーンランプ他の電源も確保できる。あとから到着する重機の作業支援が可能だ。車両左側側面はカーゴウィングになっており、大きな汎用ストレージとして使えるが、専用の収納ボックスで機材や物資を用途ごとに収めることも可能だ。水タンクと給水装備もある。

キャビン中央には、踏み台と上部ハッチがあり、上から状況確認をしたり、ルーフ・荷台に上がることもできる。ラウドスピーカーは、避難誘導や呼びかけに利用する。災害出動では高速道路での長距離移動区間もありえる。そのためシートはレカロのセミバケットタイプが採用されている。ただし、乗り降りを考えて座面の両端はフラットタイプとなっている。

初動の状況判断、情報収集で重要なのは機動性だ。アテナ自体がトルクのあるディーゼルで4WD、オフロードタイヤで武装するので多少のガレ場でも現地に入ることはできるが、住宅密集地や自動車が入れないところでは、積載しているトレールバイクが活躍する。バイクは荷室に格納できるが、リア外側のキャリーに固定することもできる。自動車が入れないところの偵察や救急出動も可能だ。

防災・救急救助総合研究所と三菱ふそうでは、今後はドローンの搭載・運用も考えており、陸・空からの情報収集も検討しているという。

発表された車両はプロトタイプとのことだが、三菱ふそうでは年内にも登録ナンバーを取得し、実際の稼働・運用につなげたいとしている。

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